混合短編 | ナノ




5

「なんなのあの子」


シャルナークが思わず呟いた言葉はその場にいる団員全員の心境を現していた。

シャルナークは12本の足を持つ蜘蛛を象徴としている幻影旅団という名の殺人盗賊集団の一員だ。

クルタ族には感情が昂る時に目が世界七大美色の一つである鮮やかな緋色へと変化する。

その緋の瞳を手にいれるために彼らが隠れ棲むルクソ地方の奥地にあるとある里を探しだし次々と復讐に走る彼らを殺して眼球を抉った。

その少年が現れたのはほぼ全ての作業が終えた頃だった。

茶色い髪に飴色の瞳を持つ10歳にも満たないその少年は金髪と茶色の瞳を持つクルタ族とは明らかに違っていて、なぜこの里にいるのか不思議だった。

だが、この状況に激昂しているその様子からクルタ族と親しくしていたことが伺える。

とはいえ、いくら怒っていようが只でさえ幼く、念も知らない子供など幻影旅団の彼らからしてみればどうということもないはずだった。

間合いの取り方や状況の観察力、そして殺気には目を見張るものがあったが、それだけだと思っていた。

その認識が覆されたのは少年が団長を殴った時だ。

確かにそれまでオーラも漏れていたし、念能力者ならば蜘蛛の面々と対峙する際にわざわざオーラ量をコントロールしてまで一般人を装うだなんて自殺行為はしないという油断があったけれど、少年が念らしきものを利用したことに団長が反応し遅れるほどの実力を持つとは。

だが、それにしてもおかしいというのが少年に対するシャルナークの見解だった。



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