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年齢の割りに小柄な体格とすすき色の重力に逆らう髪型、新品の制服は着慣れてないためかどこか微笑ましい。
教壇に立たされた時期外れの転入生である少年はそっとお辞儀をした。
「沢田綱吉です。よろしくお願いします」
幼さの残る美少年と言っても過言はなく、女子が小声で騒いでいるのが聞こえる。
「席は、じゃあ桃城の隣だ。おい、桃城!」
「ハイハーイ!!俺」
「あの手を上げた奴の隣だ」
「あ、はい」
先生に促されて沢田は桃城の隣まで来て着席した。
そのまま目があったのか沢田は桃城と反対側の人とか前の人とかに挨拶し、そして最後に興味津々にしていた人物へと目を向けた。
「ええと、桃城君、だっけ?」
向けられた琥珀色の瞳に全てを見透かすような、しかし何処か暖かい不思議な感覚を受ける。
「おう。桃城武ってんだ。俺のことは桃ちゃんって呼んでくれよ」
いきなり告げられた呼び名にきょとんとするも、分かったと微笑まれる。
「なら、オレはツナって渾名があるんだ。よろしくね」
「ツナか。よっろしく〜」
ツナは聞き上手でなおかつ俺と話があった。
教科書を貸すついでにいろいろ話した。
「そう言えばさ、オレの従兄弟もテニスやってるよ」
テニスの話題を出していたらツナは不意に思い出したようにそう言った。
「マジか」
「うん。学年は違うけど、たぶん知ってる人だと思うよ」
誰だろうか?
「この学校?」
「そうなんだ。最近会ってなかったから楽しみだな」
「誰だ?」
「う〜ん、秘密かな?直ぐに分かるよ」
イタズラっぽく笑って、結局教えてくれなかった。
「ケチだな」
「アハハ」
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