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《side Mafia》
「良かった。貴方に託せて。よろしくお願いします」
仕立ての良い服を着た中年の男性がまだ未成年だろう少年に深々と頭を下げている。
「顔を上げて下さい。オレはそんな凄い存在じゃないですよ」
それに少年は少しだけ申し訳なさそうに眉を下げる。
「顔を上げて下さい」
二度目の言葉に男性はようやく顔を上げた。
「しかし、これでやっと肩の荷が降りました。思い残すこともありません」
やりきれないような顔の少年とは対照的に男性の表情は晴れやかだ。
「それ…なんですけど。やっぱり気持ちが変わることはないんですか?」
「これでいいんです。その程度の覚悟がなければあんなことは出来ませんよ」
きっぱりと少年の申し出に対して男性は断る。
そして、少年はそっと目を閉じた。
閉じた目を開けて少年は暖かな微笑みを男性に向ける。
「こちらこそ貴方に感謝します。ありがとう」
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