相反する立場 | ナノ




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《side Black》


「話は終わったかしらシェリー?」

「……ええ。終わったわよ。ベルモット」


ひきつった笑みを顔に浮かべた少女は体が震えそうになるのを必死に抑え、女性から決して目を離さないように次の言葉を待つ。


「なら着いてきなさい」


コナンから連絡が来た直後に現れた女性が彼女であることは変装していても分かる組織の気配と彼女の言葉から気づいた。

だが、何の目的で近づいたか分からない。

一番可能性が高いのはやはり裏切り者である少女を殺すことだろうが、この女性の考えることは分からないし、なんだかんだで今までは殺されていない。

警戒心たっぷりの少女は下手な行動をとるわけにも行かず、恐る恐る女性の後について無言で歩く。

女性が向かった先は人気のない駐車場だった。


「いいことを教えてあげる」


先に口を開いたのは女性。

「いいことって何かしら?」

「ボンゴレファミリーが動き出したそうよ」


完璧な笑みを浮かべる女性と真逆に少女は顔を驚きに染め、青ざめさせる。

イタリアンマフィアボンゴレのことなら少女も多少は知っている。

名実共に裏世界の支配者。

世界各国のマフィアその他の頂点に立つ存在であるボンゴレが、動く?

女性の話からして黒の組織に対して何かしらの行動を示すということなのだろう。

だが、マフィアと組織なんて組み合わせは最悪じゃないだろうか。

何が『いいこと』だ。

思いっきり皮肉だろう。


「へぇ、そうなの」


少女は無理矢理声を振り絞る。


「あら嬉しくないのね」

「そりゃそうよ」

「まぁいいわ。もう一つ教えてあげる。殺されたのはローラン。組織の『裏切り者』よ。貴女もせいぜい足掻きなさい?」




少女も女性も気づいていない。

一部始終を見ていた者がいたなんてことを。




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