Gemelli | ナノ




4

「喋れたのじゃな」
「コイツをどうにかしろ!」
「やだ。てゆーかさ、喋れたのじゃなって酷くない?私は言葉も覚えてない赤ん坊かなんかと思われてたってわけ?まあ最も私、喋れるどころかちょー有能な赤ちゃん何人か知ってるけど。ってあれは見た目だけか」


老人が呆れ混じりに、男が怒り混じりに言いはなった言葉に茶々を入れつつ最後は独り言になりつつ答える。

ふむ。

反応から見るに話が通りそうなのは老人の方だ。

若い方は──と言っても私よりかなり年上だけれど──離せだの返せだのギャーギャー五月蝿い。


「静かにしてよ。これ、壊れちゃってもいいの?魔法使いが魔法使うには基本的にはこーゆー杖が必要なんでしょう」
「っ貴様卑怯だぞ」
「卑怯で結構。女性の部屋に押し入ったことの方が、それもこんな時間になんて、その方が数千倍も悪逆無道な行いと知りなさい。泥棒なんかにやる優しさなんて、まだ、殺してないってだけで十分だよね?」


“まだ”の部分で強調しつつ殺気を強めた。

二人ともに冷や汗が流れたのが見える。

というかなんでこんな奴ら相手にしなくてはならないのだろうか。

けれど、今思いつく魔法使いが私に訪ねてくる理由なんて、数日前に届いたホグワーツ魔法魔術学校からの手紙とかしか思い付かない。

そう言えば、その手紙には七月の末日つまり今日までに返事しろと書いてあった。

けれど、フクロウ便なんてものの使い方が分からないのに返信なんて出来るはずがなくて放置していたのが原因だろうか。




[] []

back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -