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「えーっと、魔法って実在するんですか?」
「うん。マグルにはその存在は隠されているんだけどね。アクシオ」
男は木の棒のような杖を振って、すると服らしきものが飛んできた。
その時、私が力を使おうとするときのように“力”が揺れ動いたのが分かった。
よく見ると、私の隊服だ。
それを男から受け取る。
綺麗に血も落ちていた。
「君の服だよね。洗濯しておいた」
「ありがとうございます」
「君は見たところ11歳くらいかな。たぶん、そろそろホグワーツから入学許可証が届くと思うよ。あ、ホグワーツっていうのは魔法学校のことさ。魔女や魔法使いの多くはここで学ぶんだ」
「そんな場所があるのですね」
顔をうっかりしかめてしまわないようにするのが大変だ。
体が小さくなってしまっているのは自覚していたけれど、まさかまだ十歳かそこらの人間に見られるだなんて。
それに、男の話を聞く限り“力”を持つ人間はそれなりにたくさんいて、専門の学校もあるらしい。
けれど、11歳の時の私にはその入学許可証だなんてものは届かなかった。
違うのだろうか?
結局その後は自身が幼少化しているためにブカブカだけれど服を着替えて、男の家から出ていった。
男の名はリーマス・ルーピンというらしい。
どこかで聞き覚えのある名だ。
そして、自分の名を──リアナ・ポッター──告げると何かに驚いたようだった。
そう言えば、彼は私を通して誰かを見ているようだった。
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