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考えても今はまだ答えが出そうにないから他のことを聞こうと下げていた視線を上げるときに一つのカレンダーが目に留まった。
“1991年”?
いくら何でも昔のすぎやしないだろうか?
「今って20××年ですよね?」
「1991年だよ」
男が嘘を言っているように感じられなかった。
イタリアだとか未来の年号だとかで流石に胡散臭げな視線を向けられるが構ってられない。
ますます訳が分からない。
あの黒いものは十年バズーカ的な何かだったということだろうか?
そういうことにしておこう。
「本当に大丈夫かい?顔色がまだ悪いけど」
「心配ないです」
顔色が悪いならそれはこの場に満ちる“力”のせいだ。
「じゃあ、話が変わるんですけれど、この“力”ってなんですか?小さい時から、不思議な、としか言いようがない力を自分に感じていたんです。そして、今、その力を貴方からも感じるんです。何か知っていませんか?」
「……君は魔女なんじゃないかな」
「魔女?」
会話を本題に切り替える。
男はやっぱり何かを知っているらしい。
「そう、魔女だ。因みに僕は魔法使い。君はマグル、つまり、非魔族人種の中で育ったんじゃないかな。だとしたら魔法を知らないのも頷ける」
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