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高橋亮介はこの日、港に来ていた。

本来の予定通りならばどこかのホテルのパーティー会場を借りる予定だったが、ある一本の電話より海上パーティーに変更したからだった。

同窓会幹部として、待ち合わせ場所には早く来るべきかと思い、それを実行したがどうやら早すぎたらしい。

まだ誰も集まっていない。

せめて親友だけでも引っ張って来るべきだったかと考えて、数ヶ月前の彼の戯言を思い出す。

彼、結城健がイタリア旅行から帰ってきた時のことだ。

旅行先でダメツナと獄寺と山本に会ったのだという。

これだけならば、アイツラまだつるんでいたのか、とか、イタリアにいるのか、程度の感想を抱くだけだ。

獄寺隼人はいわゆる不良みたいな奴だった。

教師にも楯突いて、一人を除いてあとは敵だといわんばかりの態度をとっていた。

そういえば、彼は確かイタリアからの帰国子女だった。

山本武は野球部のエースだった。

爽やか天然青少年を地で突き進み、誰とでも仲良くなれるクラスのムードメーカー。

山本なら甲子園も夢じゃないと誰もが思っていたが何故か、中学卒業以来彼の噂を聞かない。

そして、ダメツナこと沢田綱吉は校内でも指折り一位のダメダメな奴として有名だった。

学生にとってステータスである勉強も運動も出来ない、気が弱くて苛められやすい、そんな人物だった。

けれどあの獄寺に崇拝され、山本と仲がよく、並中のアイドルと呼ばれていた笹川京子ともよく話していた不思議な奴だ。

結城はそんな彼等とイタリアで出会ったのだという。

それも、彼らが追われているところに巻き込まれたとかなんか。

更に、あのダメツナが誰もが知るあの大企業の社長で命を狙われかけていたとか。

追われていた時に巻き込まれた、ならば外国は日本より治安が悪いらしいから、まだなんとか信じれる。

けれど、あのダメツナが社長?ないだろう。

百歩譲っても獄寺と山本がその企業の一員というまでだ。

中学卒業後彼らがどんな人生を送ったか知らないが、ダメツナならせいぜいフリーターじゃないだろうか。

若しくはニート。




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