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1

イタリアにあるとある城のような建物の一室、たくさんの書類が積まれた豪華な机がある部屋に三人の男がいた。

そのうちの一人、豪華な椅子に座る金茶色の髪を持つ人物、沢田綱吉はその手にある手紙を読んで楽しそうに笑みを浮かべた。


「同窓会か。中学以来会ってない奴のが多いし楽しみだなぁ」
「俺らが渡伊して何年だっけか?」
「9年半だろ。そんぐらい覚えておけよ山本」
「もうそんなにたったのなー」


本当にここまで長かったねと言った綱吉に銀髪の青年獄寺隼人はそうですねと答え、黒髪の青年山本武はそうなのなと答えた。

そして彼等は、少しの間昔話に興じ、そして気がついてしまう。


「あ、ねぇこの日程ってさ……」
「あちゃー、もろ被っちまってるのな」
「確かいくつかの同盟ファミリーと会談しに行くんでしたよね。視察も兼ねて」
「この日はアメリカから中国渡る予定だったはず。今時はマフィアもグローバルだからな、あーあ」
「1日くらい日程ずらすこと出来ねーのか?それかちょっと寄ってくとか」
「無理だな。十代目はその後数日間いろいろ予定が詰まってらっしゃる。寄っていくっつーのも、会場まで移動するのに時間がかかりすぎる」
「仕方ない。俺は今回の同窓会は断念するよ。その代わり、お土産話楽しみにしてるよ二人共」
「何言ってんだ?俺らはツナに着いてくぜ。護衛としてな」
「いーや、二人共同窓会とその前後計三日は休み。ボス命令だから」
「それは出来ません。その間に十代目に何かあったらどうするんですか」
「そこはお兄さんとクロームに代わって貰うから問題ない。それくらいの日程調整ならどうにかなるでしょ」
「なりますが…」
「じゃ、それで決定ね」


パタンと扉を閉めて部屋から出てきた獄寺と山本は顔を見合わす。

同窓会に行けるのは嬉しい、けれどそこに綱吉がいないのは悲しいと言った心情だ。

それに、本人が気づいていたかどうかは分からないが、綱吉は寂しそうにしていた。

友達として、右腕として、部下として、どうにかしたい。




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