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《side 沢田綱吉》
群がってきた既に敵と認識したマフィアに向かって炎を纏った拳を奮う。
彼等は元々は同盟だったファミリーだ。
前々からなんとなく不穏なものを感じていた。
そしてそれをはっきりさせるために、今日はその本部まで山本と獄寺を連れやってきた。
結果は同盟解消。
その上、帰りの車を山本が取りに行っている間に彼等は俺の殺害を企てた。
いったんそれをはね除け、路地に入りタイミングを見計らってそのマフィアの治めるシマから抜け出す、というのがその時立てた計画だ。
ただ一つ、計算が狂った。
東洋人の三人組がその路地にいた。
その三人組は明らかにこういった場所に不慣れそうで下手したら、相手マフィアの殺気だった様子から邪魔というだけの理由で殺されかねない。
だから、彼らを誘導した。
最初は俺が次に獄寺が、誘導しないほうが周りのマフィア達を蹴散らしつつ。
インカムから聞こえてくる会話からして、彼等は無事山本と合流出来たようだ。
マフィアということを隠しての山本の説明に結城やその友人が驚いているのがよく分かる。
俺としてもこんなところで同級生に会うなんて驚きだったのだから、彼からしてみたらマフィアのゴタゴタに巻き込まれたり、表向きの嘗ての同級生のにそれ以上の驚きを感じたのだろう。
あとは俺と獄寺が合流し、車に向かうのみ。
「まっ、急ぐとするか」
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