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「What language do you speak usually?」
今度はパニクっていたけれど英語で聞かれたのだと分かった。
「ジャパニーズ!」
清水が男と比べられない発音で答える。
「日本語ね。ここは危険だから着いてきて」
「危険ってどういうことですか?追われてるとか」
男は日本語も堪能らしい。
そこでまた銃声が聞こえた。
さっきより大きく感じるから、近いのだろう。
「そんなとこ。君らも巻き添えで殺されたくないでしょ」
「こ、ころさ……」
「だから行くよ。こっち!」
物騒なことを言い出した男について走り出す。
何か慣れてるみたいに男の動きに迷いはない。
そして、はっきり言って訳がわからない。
それが今の状況だ。
男はインカムみたいなので時々誰かと話している。
「ここ隠れて」
暫く時々路地の向こう側に見える追っ手(てゆーかなんで俺らまで?)から逃げるように進んでいたら何かの影っぽいところに隠れるよう指示された。
そこに三人してしゃがんで、男はしゃがまなかった。
「もうすぐ俺の仲間が来るから。ごめんね巻き込んじゃって」
「待てっ」
言うだけ言って去ろうとした男を咄嗟に引き留める。
不思議そうな顔をしていたが、どうしても、気になるのだ。
何だか喉の奥まで出かかっているのに、出てこない。
凄くもどかしい。
この男は誰だ?
聞けるのは今しかないかもしれない。
「俺と会ったことありますか?」
「え、いやないと思うけど……いや、違うな」
男がスッと目を細めた。
「並中って知ってるよね?」
「知ってますけど」
「結城?」
男が言ったのは嘗て通っていた中学の略称、そして俺の名前。
教えてないのに。
それより、並中?中学時代の知り合いか?
こんな奴いたか?
そこまで考えてハタと思い出す。
有名人二人に囲まれたダメダメな奴。
……似てる。
「ま、さかダメツナか?」
「懐かしいねそのあだ名」
恐る恐る尋ねれば否定されなかった。
マジで?
更に何か言われて何処かに言ってしまったが、混乱で理解出来なかった。
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