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始まりがいつだったのかとか終わりはくるのだろうかとか考えたって仕方ないけれど……


《何かを変える合図》




男性三人に女性一人、それから子供が一人に赤ちゃん一人、付け加えればもう一人少年がそこにいた。

その場の全ての者はその濃紫色の球状の物体を見つめている。

その中にいるのは、大空と呼ばれる少年。

若干数名を除き彼の、沢田綱吉の安否を気遣いハラハラとした表情をしている。



そして、不意にその物体にヒビが入ったかと思うと次々に崩れていく。


「眩しいんだもんね」
「何だ?何が起きている?」
「恭さん、これは?」
「球心体が壊れる」


突然の事態の変化に誰かが声をあげた。

物体が崩れきるとそこにいたのは純粋な橙色の炎を額と手に纏った少年。

その手が嵌めているグローブに皆の視線が集中した。

グローブには大きな宝石があるかのようでその中にボンゴレの紋章が浮かんでいる。



「あれは」
「超えたな」
「まさか試練の末の形態だとはな」
「ああ、俺も半分自信がなかったんだけどな。飛躍的なパワーアップと言われて伝説のこのシーンしか思い付かなかったのが正直なところだ」
「ワオ」


少年は周囲の声に気を向けずに自身の手と炎をその憂いを帯びた琥珀の目で見つめる。



そんな少年に近づいていくのは、少年を球状の物体に閉じ込めた雲雀恭弥という青年。

好戦的な目を少年に向けて口を開く。


「少しだけ僕の知る君に似てきたかな。赤ん坊と同じで僕をワクワクさせる君にね。ここから先は好きにしていいんだよね、赤ん坊」
「ああ、そういう約束だからな」
「じゃあ、始めようか」


そして、青年はトンファーを構えて紫色の炎を纏わせ殺気を放つ。

そのかなりの凄まじさに周囲の者は恐る。


「今まで抑えてのか?これが雲雀恭弥」


思わず、といったように感嘆する女性がいた。

しかし、殺気を向けられた少年は怯まず、ただ視線を向けられたからといった風に青年に目を向けた。


「この戦いにルールはない。君が選べるのは僕に勝つか、死ぬだけだ」



その言葉に少年はただ目を細めた。

そして、少年は興味がないといったふうに手の甲と額の炎を消す。


「どういうつもりだい?」
「悪いが、今はそんな気分じゃない」



炎を消してもいつものように気弱になるでなくただ謳うように出された言葉に青年は不審に思う。


「ランボ、過去から来た守護者に後で俺の部屋にでも集まるよう伝えてくれ。話があると」


少年は何時にない存在感を纏わせランボという幼子に声をかけた。

それを聞いてランボは一瞬きょとんとしてから、わかったんだもんねと笑顔で答える。

それにくすりと笑みを浮かべ少年は去ろうとした。



「おい、逃げるのか」

そんな少年に声をかけた赤ん坊は彼の家庭教師であるリボーン。

修行中に抜け出そうとした彼が逃げているように見えたのだろう。

「別に。空が見たいと思ってね」
「今は雨だ。空なんて見えやしねぇ」
「そう。まぁ構わない」



今度こそ少年はその場を離れた。




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