東堂受けSSS

福東、荒東、新東

※雰囲気で読んでくださいorz

*安心感イコール(福東)

黄金の髪、鉄仮面と称される厳つい顔、たくましい身体、その全てが自分とは正反対である。自分の非は正直に認め、正しく勝とうとするその信念は美しいとさえ思う。彼のそういうところが、鬼や狼と揶揄されるあの二人さえも魅了し、離さないのだろう。また俺も、そんな彼に魅入られた一人なわけだが…
彼の隣には必ず、俺か、隼人か、荒北がいる。口数が少ない割りに、嫌な沈黙はなく、居心地がいいのだ。側にいると感じるのは、あの好敵手に抱いているのとはまた違う感情。どこか暖かくふわりとした優しい感情だ。荒北や隼人が同じことを感じているかはわからないが、とにかく、フクの側にいると安心する。

「東堂」

部活の休憩中、ふと空を見上げてそんなことを考えていると、本人から声がかかった。

「む?何かね?」
「珍しくボーッとしていたな。考え事か?」
「あぁ、ちょっとな…お前のことを」
「俺のこと?」
「大したことではないよ」
「気になる言い方をするな」

花壇の縁に腰かけていた俺の隣に、フクも尻をつける。

「俺の何を考えていた?」
「気にするようなことではないのだよ」
「いや気になる」
「…」

話すまでここから動かないといったところか?普段は見せない、こういう子供っぽいところ可愛いと思うなんて、俺も相当こいつのことが気に入っているようだ。ここで荒北辺りが乱入でもしてくれれば、この話は有耶無耶になるだろうに、こういうときに限って奴らは来ない。さっと目を走らせて確認したところ、荒北は黒田をいじめるのに忙しく、新開は泉田と楽しそうに話し込んでいた。

「東堂」

話せ、と目で語りかけてくる。もうこれは観念するしか無さそうだ。

「フクのな、側にいると…安心するなって、思っていたのだ」
「安心?」
「ここが自分の居場所なんだって思えると言うか。なんとなく側にいたくなると言うか…」

照れ臭さから少したどたどしくなってしまった。さ迷わせていた目を、おそるおそるフクに戻す。そして我が目を疑った。

「っ!」

あの鉄仮面が、頬を朱に染めて驚愕に目を見開いていたのだ。

「フク…?」
「いや、まさか…お前がそんな風に思ってくれていたとは…」
「む。別に俺だけではないと思うぞ。荒北や隼人だってきっとそう思っている」
「そうか?」
「うむ!お前の隣にいるとな、こう胸の辺りがほっこりして、幸せな気持ちになれるのだ」
「それは嬉しいな」

ふわりと、フクが笑う。ドキッとした。なんて綺麗に笑うんだろう。あの無表情からは想像もつかなかった。

「俺も、東堂の隣は居心地がいいと思う」

そんなことを言われて、一気に鼓動がはやまった。なんだか落ち着かない。こんなのまるで…
そこまで考えて、何かがストンと落ちた。そうか、俺はフクに…

「恋をしているのか…」
「ん?」
「あっ、いやなんでもない!そ、そろそろ休憩時間が終わるな!」
「東堂、今のは…」
「ほらフク、お前が声をかけねば練習が再開できまい?さぁ行こう!」

ヤバイな、顔が熱い。これでは暫く、まともにフクの顔が見れぬではないか!
とりあえず巻ちゃんにでも電話して、どうにか心を落ち着けよう。


*嫉妬心マイナス(荒東)

そいつは、ただ一心にチームに尽くした。フクのために、チームのために、でも決して自分のためには走らなかった。

「ちっげーヨ!福ちゃんを勝たせるのが俺のためなの!」
「フクのためだろうが」
「ちっげーってばァ」

荒北の部屋、備え付けのベッドの上で背中合わせに座りながら、特に何をするでもなくただ話している。俺が荒北の走る理由はフクなのだろう?と問いかけたところから、この話は始まった。俺たちは所謂セフレというやつで、寮暮らしで男所帯な上に、部活三昧で性の捌け口がない我々は、互いを相手にすることでそれを消化している。今夜もそのつもりで部屋を訪れたのだが、先ほどフクが現れてそれどころではなくなってしまったのだ。

「来週末はレースか」
「おう、応援にこいよォ」
「…考えておこう」

フクと荒北、二人が組むレースでは負けなしだった。荒北にとって何においても一番はフク、優先すべき事柄はフク。正直、焼きもちを焼いているという自覚はある。バカみたいだ。別に俺たちは恋人同士でもないのに…

「おめェさァ、なァに拗ねてんのォ?」
「拗ねてなどいない」
「拗ねてんだろォが、俺と福ちゃんが仲良し過ぎて」
「…」
「膨れっ面ブサイクだなァ」
「ブサイクではないな!」

思わず振り返れば、ニヤニヤ笑う荒北がそっと俺の髪を撫でた。

「福ちゃん出てって大分経ったし、そろそろヤッかァ?」
「…お前は俺の体だけなのか」
「やっぱ拗ねてんじゃねェか」

ご機嫌とりのつもりなのか、今度はギュッと抱き締められる。それが嬉しくて嫉妬心なんてどこかへ行ってしまったが、素直に喜ぶのも癪なので、とりあえず頭をグリグリ擦り付けてささやかな抵抗をした。


*愛おしさプラス(新東)

「お前は割りとポーカーフェイスだと思うのだが」
「急にどうした?」

昼休み、隼人と二人食堂へ向かう道すがら、ふとそんなことをおもった。

「先ほど、藤原の友人が彼女に別れを切り出されて大泣きしたらしいのだ」
「へー」
「男が大泣きなど言語道断だが、隼人は大泣きどころか辛いことがあっても言ってくれないだろう?」
「うさ吉の時みたいに?」
「自覚があるなら…」

なぜ何も言ってくれなかったのだ。なんて今言っても仕方ないのだが、インハイメンバーを降りると言った時、荒北と二人で物凄く焦ったのを覚えている。何かを察したらしいフクだけが、隼人が口を開くまで何も言わなかった。

「寂しいのか?」
「…寂しい。隼人はもっと俺に甘えるべきだ」

ぷぅと膨らませた頬を楽しそうにつつく隼人の手を払う。

「けっこう甘えてるぜ?」
「嘘をつけ」
「嘘じゃないよ。今だって、尽八が俺にそいやって色々言ってくれることが嬉しくてたまらないんだ」

にこりと、女子たちがキャーキャー騒ぐ爽やかな笑みを浮かべて俺の肩を抱いた。全く、こいつのこう言うところに腹が立つ。余裕ぶって、俺たちがこうしていると喜ぶ女子がいることを知っててわざとやっているんだ。

「そういう尽八だって俺に甘えてくれないじゃないか」
「む、そうか?」
「そうだよ。だからお互い様」

そっと手を繋がれたところで食堂へたどり着いた。

おわれ

にゅん名義で支部にもうpしたやつ。

2013年10月7日 相坂

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