Trick or Treat!

ホモなしの、はず。
尻切れトンボ。

フランケン:福富
ウルフマン:荒北
ウィザード:東堂
バンパイア:新開
ミイラ男:泉田
死神:黒田
ゴースト:葦木場
悪魔:真波

「Trick or Treat!」

バンッ、と集会所の扉を開け放ちながらそう言ったのはバンパイアの新聞だった。中にいた面々は始めは驚いたもののすぐに呆れ顔になる。

「バァカ、お前はお菓子貰えないんだよ」
「わかってるさ。だからお前たちに言ったんだ。お菓子がないなら血でもいいぜ?」

いたずらされたくなければ何かちょうだい。にっこり笑いながらウルフマンの荒北に手のひらを見せた。

「やなこった!」
「じゃあ靖友はいたずらされてもいいのか?」
「やだヨ。おい東堂、お前なんか持ってねェのか?この馬鹿黙らせろ」
「持っているわけなかろう…」
「二人ともいたずら決定だな!」

バキューンポーズでそう言い放った新聞は、まず三人掛けのソファーに座る東堂に向かってダイブした。

「うわっ、ちょっ!待て隼人待て!」

バフンッ

ガチャ

「失礼いたします」

それとほとんど同時に、ミイラ男の泉田、死神の黒田、ゴーストの葦木場が集会所へと入ってきた。三人はソファーへ東堂を押し倒している新聞を見て目を丸くした。

「し、新開さん!?」
「新開さんと東堂さんはそういう関係だったのかー!」
「いや違ぇだろ!ちが、うと思う…」

上から順に泉田、葦木場、黒田である。

「馬鹿者っ!そんなわけなかろう!早くこいつを退かしてくれ!」
「つれないなぁ尽八」
「ええい!Ventus!」

悪ふざけをする新開に苛立った東堂は風の魔術で彼をぶっ飛ばした。

「うわっ!」
「おいコラこっちに飛ばすんじゃねェヨ!」

飛ばされた先は荒北の方だった。彼の座っていた木の椅子ごと、ドターンと大きな音を立てて後ろへ倒れる。

「痛てて…」
「東堂ォ!」
「すまんね、可愛い後輩たちの方へ飛ばすわけにはいかんのでね」

しれっと言いきった。葦木場は何がなんだかわからず、名画叫びのようなポーズで驚いているし、泉田と黒田もポカーンとしている。上に倒れた新開を退かして、荒北が東堂に詰め寄り、二人の言い合いが始まってしまった。手持ちぶさたになった新開は、後輩たちにことの次第を説明してやろうと考えたが、ふと今日が何の日だか思い出して考えを改めた。

「泉田、黒田、葦木場」
「は、はい!」
「なんでしょう?」
「はいぃ…」
「Trick or Treat!」
「「後輩にたかるなっ!!」」

そんなところへ、再び扉が開いて中に入って来たのは悪魔の真波。遅刻魔真波であった。

「先輩たち何がなんだか楽しそうなことしてますね」
「た、楽しそうか?」
「おっせェ!」
「真波!お前ちゃんと時間通りにこいと何回言えばわかるのだ!」
「ごめんなさーい」
「謝る気がまるでないな…」

これであと来ていないのはフランケンの福富だけとなった。

「東堂さん、早く坂道くんたちを脅かしに行きたいです」
「俺たちがどこに行くかは、他のチームリーダーたちとフクが話し合っている最中だ。去年と同じところに行けるとも限らんぞ」
「えー、坂道くんたち脅かしたいのになー。東堂さんだって巻島さんのところに行きたいでしょ?」

毎年この日は、いくつかのチームが話し合って、どこを脅かしにいくか分担している。真波は去年行った先で物凄く驚いてくれた小野田坂道とその友人たちがお気に入りだった。できれば今年も彼らを脅かしたいと思っている。


「それはそうだが決まりは決まりだ」
「あんま聞き分けがねぇと喰っちまうぞ」
「きゃー荒北さんのけだものー」
「真波ィ!!」
「靖友はけだものじゃなくてケモノだぜ?」
「いやそう言うことではないと思います…」

そこへ三度開かれた扉から、リーダーのフランケンが入室する。中の様子を見て瞬きを一つ。

「あ、福富さん!どこになりました!?坂道くんたちのところ!?」

いち早く彼に気づいた真波が、期待に目をキラキラされて駆け寄る。真波の目を数秒見つめた後、じっとこちらをうかがう他の面々も見渡してから口を開いた。

「そうだ。今年も俺たちはあの地区の担当になった」

そして拳を高らかに突き上げ…

「今年は去年よりも金城たちを驚かせる」
「「「「「「「おおおおおお!!!」」」」」」」

それを合図に、彼らは次々と集会所を飛び出した。

「迅くんならお菓子持ってるかな?」
「「まだ言うか!」」

おわれ

2013/10/31

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