キュッ!
捏造、SS
○キュッ!
2号視点
高倉家にザクザクとキャベツを刻む音が響く。陽毬嬢は居間で、3号と編み物をしていた。台所に入るとついついつまみ食いをしてしまう僕は、現在、晶馬氏に追い出されてしまい、手持ち無沙汰である。ちなみに、1号と冠葉氏は外出中だ。
「キュッ(おなかすいた)」
ポツリと呟く。
「キュッキュッ(きっともう少しで夕御飯よ)」
編み棒をせかせかと動かしていた手を止めて3号はそう言った。
「キュッ(だけど、1号と冠葉氏が帰ってこないと食べられない)」
「キュッキュッ(早く帰ってきたらいいわね)」
「キュッ(うん・・・・)」
最近、1号と冠葉氏の帰りは遅い。晶馬氏が「帰りが遅くなるなら連絡しろ!」と、携帯端末機を片手に怒っている場面が多くなった。高倉家は全員そろって夕御飯を食べるのが基本。「陽毬、冠葉遅くなるって。だから食べよう」、顔を怒りに染めてそう言う晶馬氏を見て「うん、もう冠ちゃんたら仕方ないね」と笑う彼女が、実は影で寂しそうな表情をしているのを知っている。
「キュッ(今日は、三人と三羽がそろって食べられたらいいな)」
「キュッキュッ(そうね、その方がいいわ)」
台所からパチパチと油の跳ねる音がした。ジュワーと何かを揚げている。
「キュッキュッ(メインディッシュは何かしら)」
「キュッ(たしか鶏肉があったから唐揚げかな)」
「キュッキュッ(私たち共食いね)」
「Σキュッ(たしかに!)」
そんな風に3号と話している様子を見て陽毬嬢がクスクスと笑った。「二人とも何話してるの?」3号が一生懸命に伝えようとしているが、言語が違うとなかなか伝わらない。身振り手振りとプラカードを駆使して説明する。「あ、そっか。サンちゃんたちはペンギンだから、鶏肉を食べると共食いになっちゃうんだね」、ポンッと手を叩く陽毬嬢はとても可愛い。その時、台所から晶馬氏が陽毬嬢を呼んだ。「陽毬、夕飯できたから運ぶの手伝ってくれる?」それに「うん、いまいくね」と応えて彼女は立ち上がる。
「キュッキュッ(私たちも手伝いに行きましょう)」
「キュッ(そうだね)」
ペタペタと台所へ行く。だいたい全て運び終わったくらいに、1号と冠葉氏が帰宅した。
「ギュッ(ただいま)」
「キュッ(おかえり)」
「キュッキュッ(今日は早かったのね)」
陽毬嬢が嬉しそうな声音で、冠葉氏におかえりを告げている。
「キュッキュッ(よかったわね、みんなでご飯が食べられるわ)」
「キュッ(うん、共食いだけどね)」
「Σギュッ(なん・・・・だと!?)」
カチンと固まる1号が面白い。その後、「「「いただきます」」」という三人の挨拶と同時に、僕たちも食事を開始する。レモンをしぼった唐揚げは、とてもおいしかった。
おわる
キュッ(ギャグです)wwwww
ペンギンたちっていつも何を考えているんですかね(^^)
2011.10/27
[ 15/19 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]