男勝りな女の子
久々竹、にょた注意
○男勝りな女の子
竹谷視点
俺は女だ。だけど、己の事を『俺』と言うのが癖になっていたり、幼い頃は木登りやチャンバラごっこをしていたり、スカートを嫌ってズボンばかりをはいていたり、全く女らしくない。そんな俺を見かねてか、小学校も五年生になろうというころから、ばあちゃんや母さんが口をそろえて「はしたない」と言うようになった。
「女だ男だっつったってさ、どうせ付いているか付いていないか、膨らんでいるか膨らんでいないか、産めるか産めないかの違いだろ?それをさ、男らしくないだの女らしくないだの言うのっておかしくない?体の違いで性格までこうしろああしろなんて言われたってさ、これが俺の個性だとしか答えられないんだけど」
ダンッとコーラの入ったペットボトルを机に叩きつける。前の席に座って話を聞いていた兵助は、キレイな黒目をこちらに向けたまま静かに続きを待っていた。
「そりゃあ俺だって全く女の趣味がないわけじゃないぜ。可愛いもんも甘いもんも大好きだし、カッコいい男子が近くにいればドキドキする。けどさ、男にだっているだろ?可愛い物も甘い物も好き、男にドキドキするってやつ」
「・・・・」
兵助が、自身の手元にあるミルクティーのフタを開けて一口飲む。
「そう、かもな」
「だろ!で、逆に男が好きなセクシー美女のいるエロ本を読む女もいるわけだ」
「・・・・」
再び、ペットボトルのフタを開け、兵助はミルクティーを飲んだ。
「そう、なんだ」
「おう!女だってデカイ胸は好きだ!」
俺も喉が渇いてきたので、コーラを飲む。
「ぷはっ!つまりさ、体が男よりか弱いからって、女は大人しくおしとやかに、なんて一体誰が決めたんだって思うよな」
「男はたくましく女を守れ、とか?」
「そうそう、それもおかしいだろ!」
だって最近じゃあ草食系男子なんて言ういかにもヒョロイ男が、ウジャウジャそこらへんに生息してる。あんなのに守られるくらいなら、自分の身くらい自分で守るし、ついでにそのヒョロ男も俺が助ける。あぁ、兵助もちょっとヒョロイよな。兵助は俺が守ろう。
「・・・・なぁハチ」
「ん?」
「お前が言うこともごもっともだけどさ」
「うん」
「俺はお前を守りたい」
「え!?」
ドキッとした。真剣な顔の兵助に見つめられる。漆黒の瞳から目が離せない。突然、何を・・・・
「男としてはさ、たとえどんなに男勝りだったって、好きになった女の子は自分の手で守りたいと思うよ」
「へ、へいすけ?」
いきなりそんなことを言われて動揺している俺に、優しく笑いかける。
「男とか女とか、人を個人個人で見た場合にはもう関係ない時代かもしれない。だけど、長い歴史の中で受け継がれてきた男女の文化っていうのもあるだろう」
「う、ん・・・・」
「ありきたりだけど、俺はハチを守りたい。どんなものからも君を守る。おとぎ話で言うところの、姫を守る騎士みたいに」
「っ!お、俺の力説、全部ムシしやがって!」
・・・・カッコいいけど。騎士って言うよりも兵助は王子様タイプだけど・・・・なんて絶対言ってやらない!
おわり
う〜ん・・・・。
2011.11/08
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