友達自慢

多分CP無し

○友達自慢

雷蔵視点


「そうそう、あの二人って性格も似てるよな!」

夕方、コンビニへいった帰り。寮の自室に戻る途中、三郎と僕の耳にハチの声が飛び込んできた。薄暗い食堂を覗くと、兵助と勘右衛門とハチがジンジャーエールを飲みながら談笑しているらしい。三郎と顔を見合わせる。何の話だろう。

「雷蔵はふわふわしてて優しいけど、三郎ってけっこう冷たいじゃん。だけど何気に、三郎にも優しいとこあるんだぜ」

隣で、冷たくて悪かったな、ハチのやつこの野郎。と、三郎が呟く。一応、でも、優しい所もあるって言ってるよと、あまりフォローになっていないフォローを入れた。

「この間さ、体育の授業が終わったあとに石につまずいて足くじいて座り込んでたらさ・・・・三郎のやつ、最初は馬鹿にしてどっかいっちゃうんだ。なのにさ、しばらくしたら戻って来たんだよ」

あの時は雷蔵や他のみんなは先に教室に戻ってたし、どうしようかと思ってたんだ。と続く。そうだったんだ気がつかなかった。隣を見ると、三郎がうつむいている。

「そんでな、『お前はどんくさいな』とか言いながら、おぶって保健室まで連れていってくれたんだ!三郎ってツンデレだよな。超優しい。俺、あいつのそういうところ大好き」

三郎の耳は真っ赤に染まっていた。照れているんだな。クスッと笑う。

「そんで雷蔵なんだけどな」

話題が僕のことに移った。

「よくみんなは、三郎と比べていつも悩んでばかりの雷蔵は頼りないって言うけどな、実はそうでもないんだ」

何だろう、何を言われるんだろうとドキドキする。

「今日の昼間にさ、委員会で毒蛇に咬まれたんだ」

ほらっと兵助たちに絆創膏を貼った指をみせている。あぁ、今日の・・・・

「もうこう言うのは慣れてるからさ、とりあえず毒を吸いだろうとしたら、ちょうどその場にいた雷蔵がな・・・・あ、手伝ってもらってたんだ。だからいたんだけど、雷蔵が『早く解毒しないと!』って俺のこと横抱きにして、あ、いわゆる姫抱っこな。で、そのまま保健室まで運んでくれたんだぜ。あいつあの時、そうとうパニクってたのかもしれないけど、一瞬も悩まずに姫抱っこはカッコよかったなぁ。男だけど惚れるわマジで」

顔が熱くなっていく。隣の三郎が顔を赤くしたままニヤニヤと見てくる。なんだよ、自分だって人のこと笑えないだろう!中からはまだハチが僕たちの話をしていたけれど、これ以上は恥ずかしくて聞いていられなかったので、そっとその場を立ち去った。


おわり


2011.10/26


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