It grows up strikingly.

大学生、にょたけ、鉢雷鉢、五い竹、

○It grows up strikingly.

「ねぇ、二人の人を同時に、しかも同じくらい好きになっちゃったらどうしたらいいの?」

およそ一ヶ月ぶりにあった幼馴染みから、突然そんな質問をされた。そりゃあ一時期、何股もしてチャラ男だなんだと言われていた俺だけど、いまは純粋にたった一人だけを愛している。それもいま俺にそんなことを尋ねている張本人を、だ。ずっと一緒だった幼馴染み五人組は、高校を卒業してからそれぞれ違う大学に進学した。雷蔵はそこそこ偏差値の高い大学の文学部に、三郎は雷蔵と同じ大学で美術史を専攻している。兵助は超難関大学にあっさり合格し、ハチはついに親の願いを聞いて、私立の女子大の保育学科に入れられてしまった。ちなみに俺は、偏差値は兵助の大学の次にすごい親の出身校で、経済学を学んでいる。授業がめんどくさい。

「勘ちゃん聞いてる?」
「聞いてるよ」

ちなみにここは居酒屋。授業終わりに、久しぶりに五人組が集まって飲み会をしている最中である。俺の向かいに座るハチの横では、兵助が、俺の横に座る雷蔵と三郎に絡まれていた。雷蔵はほんのり酔っているようだが、三郎のは確実に悪のりだ。う〜ん、と考えるふりをしながらハチを見る。少し跳ねているけど、昔よりはちゃんと整えられている髪、薄めのナチュラルメイク、女の子らしい可愛いワンピース、ヒールのあるサンダル。

「二人とも好きなままでいいんじゃない?」
「それじゃあ前に進めないじゃない」
「だったら両方に告白してみたら?」
「両方に?」
「二人とも同じところに集めて、二人とも好きですって」
「なんかビッチみたい・・・・」
「こらハチ!女の子がビッチビッチ言うんじゃありません!恥ずかしいでしょ!」

突然、兵助の髪の毛をひっぱりながら、雷蔵が会話に乱入してきた。酔いではなく顔を赤く染めた三郎が、雷蔵がビッチって言った・・・・と照れていた。別にお前に言ったんじゃないんだからさ。三郎と雷蔵は恋人になってもう長い。雷蔵は倦怠期を感じているようだが、三郎は常に雷蔵に対して新婚気分だ。恋は盲目。

「いーいハチ。そんなかわいーかっこしてビッチなんていったら、へんなおとこにせまられちゃうよー!三郎とか!」
「こんなちんちくりん襲わないよ雷蔵!」
「ちんちくりんって何よ!?あと雷蔵の方が大声で恥ずかしいから!」

何よ!?だって。女子大に行って話し方が女らしくなった。清楚なイメージの女子大だもんね。でも実際は、女子大の女の子って一部を除いて、男がいない分大胆ではしたないらしい。普通にパンツ見せて室内ベンチに横になっているんだってさ。雷蔵の拙い話し方に三郎が嬉しそうだ。

「な、何の話してたんだ?」

色んな意味で頬をひきつらせた兵助が問う。

「好きな人に告白するかって話」
「はっちゃん、告白するんだ・・・・」
「まだわかんない」

兵助があからさまに落ち込んでいる。普段なら自慢のポーカーフェイスで隠すのに、こいつも少し酔ってるのかも。あ、そうだ。

「じゃあハチ」
「ん?」
「ハチは二人から同時に告白されたらどうする?」
「え?」
「つまりさっきの逆」

例えば俺と兵助に同時に告白されたら?と聞く。

「へ、兵助と勘ちゃんに!?」

あれ?急に顔が真っ赤になった。声も上擦っている。何だろうこの反応。その疑問は酔っ払い雷蔵のおかげですぐに判明した。

「ハチは、こーこーから兵助と勘ちゃんがすきなんだし・・・・」
「雷蔵!」
「どっちともつきあっちゃえばいいよぉぉお!」
「わーわーわーわー!」

何それ初耳。思わず兵助と顔を見合わせた。違うの違うの!好きってそういう好きかと言うと何て言うかそうだけどそうじゃなくて、さっき勘ちゃんにした質問はそういうことじゃなくてね・・・・!ちょっと涙目になりながら慌てるハチがとても可愛い。

「きょーのそれだって二人にかわいーって言ってほしくて三郎にえらんでもらったたかいやつだよねー!」
「違うもん!べ、別にそういうわけじゃ・・・・!」
「その通りだろうが」
「三郎は黙ってろ!ていうか雷蔵を黙らせろ!」
「お前は雷蔵の可愛い口を俺の口で塞げというのか!」
「そこまで言ってないでしょ!」
「何でだよ!言えよ!喜んでやるよ!」
「はぁ!?なにこの変態!」

ギャーギャーと騒ぎ始めた二人を尻目に、兵助と二人で雷蔵に詰め寄る。

「ねぇねぇ雷蔵、ハチが高校から俺たちを好きってどういうこと?」
「そこんとこぜひ詳しく」
「んーとねぇ、こーこーのにゅーがくしきのとき、二人のブレザーすがたがかっこいいっていいはじめてー」
「「うんうん」」
「ちゅーがくんときはおさななじみのふたりがモテるのじまんだっていってたのに、それからはなんかいやになっちゃったらしくてー」
「「うんうん」」
「でもふたりどおじに好きとかおかしーってなやんでたんだよね、ずーっと」
「雷蔵ぉぉお!やめてお願い!ちょ、すいませーん!お冷や五つお願いしまーす!」
「三郎ぉ、照れてるハチかぁわいーねぇ」
「酔って眠そうにしている雷蔵も可愛いよ〜」

ニヤニヤが止まらない。雷蔵が俺たちにそんな嘘を言うわけないし、ハチの慌てっぷりからして本当なのだろう。だったらやることは一つ。同じことを考えているらしい兵助と目があう。頷きあって・・・・せーの、

「「ハチ(はっちゃん)、俺たちと付き合ってください!」」
「っ!ば、ばかぁ!」

ハチは、兵助を押し退けて居酒屋から逃げ出した。

つづく

あれ?こんな展開になる予定はなかった・・・・。
タイトルの意味がだんだんめちゃくちゃに(笑)


2012.7/3

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