It grows up melancholy.

高校生、にょたけ、チャラ勘、鉢雷鉢、五い→竹、

○It grows up melancholy.

「好きです。付き合ってください」
「ごめんね。いま彼女いるからさ」

親友の告白されるシーンを目撃してしまった。モテるのは知っていたが、実際にこういうのを見るのは初めてだ。ゴミ捨てに行ってうっかり遭遇なんて、なんの漫画だよ。全員揃って忍術学園の高等部に進学した俺たちは、以前ほどずっとつるんでいるということはなくなったが、それでもあの五人組は俺の中で特別である。勘右衛門に聞いてくれてありがとうと涙声で言うあの子は知らないんだろうな。勘右衛門がはっちゃんによく似た他校の子と付き合っていること。それも複数。前にその事を咎めたら、向こうも遊びなんだと言ってかわされた。

「鉢屋くんが好きなの。付き合ってよ」
「無理だ」

親友の告白されるシーンをまた目撃してしまった。雷蔵雷蔵とべったりなのにモテるもんだな。ゴミ捨てに行ってうっかり遭遇なんて、一度で充分だったのに。強気なクラスのマドンナは、三郎が雷蔵と付き合っているとは思っていないのだろう。ていうか、どうして私を振るの?って、どんだけ断られない自信があったんだ。残念だけど、三郎は昔から雷蔵しか見てないから諦めるべきである。雷蔵が俺の世界の全てだと素で言うからなあいつ。男同士だしお互い本気だから、君の入る隙間はないぞ。

「ふ、不破くんって、付き合ってる人いるの?」
「うん、いるよ」

告白とまではいかないものの、それに準ずるシーンを目撃してしまった。やはり雷蔵もモテるのだな。勘右衛門や三郎が告白されていた場所だ。だからゴミ捨てに行ってまたまた遭遇したことになる。どうして俺がゴミ捨て当番の日に限って、同じ時間同じ場所でやるんだ。雷蔵とあの大人しそうな子が立ち去るまで待ちぼうけじゃないか。

「い、いるんだ・・・・」
「うん。大切な恋人」

三郎が聞いたら鼻血を吹き出して倒れそうなくらい、雷蔵の声が甘い。あーあ、相手の子も可哀想に。どんな子?って聞いた彼女に対して雷蔵は、意地っ張りで不器用だけど仲間想いの可愛いやつと答えた。絶対ツンデレ美少女だと思っただろうな。ちなみに夜の立場的には雷蔵が・・・・おっと誰か来たようだ。

「俺の彼女になってください!」
「ごめんなさい!」

もしかしたらと予想はしていたが、まさか想い人が告白されるところも目撃してしまうなんて。相手ははっちゃんと同じ部活の体育会系か。おのれ脳みそ筋肉族め、俺もまだ告白してないのにふざけるな。だが振られたな。ざまぁ。もちろんゴミ捨ての途中なので、相手にこの中身をぶちまけられるわけだが、万が一はっちゃんにかかってしまったら問題なのでやめておく。

「好きな人がいるんすか・・・・?」

あ、それは俺も聞きたい。耳をそばだてる。

「っ!ぶ、部活に、集中したいので・・・・」

ちらりと覗くとはっちゃんの顔は真っ赤だった。うそだな。いるんだ、好きな人・・・・。

今日はゴミ捨てに行っても何も起きなかった。誰も告白されてないどころか誰もいない。先日のはっちゃんのショックを実はまだ引き摺っている俺は、あの脳みそ筋肉族のようにいっそ潔く告白して振られようか考えていた。でも振られて距離をとられたらどうしよう。幼馴染みとして一緒にいられるいまの立場を壊したくない。はっちゃんのいない生活なんて考えられない。ゴミ置き場にゴミを置いて教室に戻る帰り道、ゴミ臭い手を洗いたくて急いでいると呼び止められた。

「久々知くん、ちょっといいかしら?」
「?」

連れていかれた先は、みんなが告白されていたあの場所。え?ここってそういうスポットなのか?綺麗な茶髪を高い位置でポニーテールにした彼女は、確か同じクラスの子だ。部活がはっちゃんと同じだってことは覚えている。

「あのね、私、久々知くんが好きなの」
「・・・・ごめん、俺」
「竹谷ちゃんが好きなのよね。知ってるよ」
「え?」
「好きな人の好きな人くらい見てればわかるわ」

俺にははっちゃんの好きな人が誰だかわからないんだけど。

「ただ気持ちを聞いてほしかっただけだから」

応援してるからね。バイバイと立ち去る彼女の背中をボーッと見送る。しばらくそうしていたら、後ろから肩を叩かれた。

「兵助」
「勘ちゃん・・・・」
「ごめん、見ちゃった」
「・・・・いや」
「・・・・」
「・・・・」

いまの子、すごく格好よかった。振られるとわかってても気持ちを伝えて、さすがに笑顔ではなかったけど、応援してるからなんて爽やかだ。

「俺さ、彼女たちと別れるよ」
「そうか」
「本気でハチを落としにいく」
「・・・・」
「だから、兵助も頑張ろう」
「え?」
「どっちが先にハチを落とすか勝負だ。一緒に頑張ろうよ」

せっかくあんな可愛い子が兵助を応援してるんだからさ。ニッと笑った勘右衛門が手を差し出す。

「・・・・でもはっちゃん、好きな人いるらしいぞ」
「関係ないね」
「さすがチャラ男」

がしっと手を握り返してそう言ってやる。告白することしか考えていなかったが、そうか、惚れさせてしまえば関係ない。俺には思い付かない発想だ。

「お前のそういうところ大好き」
「俺も」

つづく

自己満足とも言う。
タイトルの文法には目を瞑ってください(>_<)

2012.7/3

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