だから僕らは走り出す

転生現パロ、竹谷にょた、ごったけ、モブ注意

4.だから僕らは走り出す

side O

「みんな仲良くが、一番だ」

後ろからハチがそう言っているのが聞こえた。三郎も聞いたようで、一瞬動きが止まった。

「いきなりどうしたの?」
「あぁ勘ちゃん。勘ちゃんと兵助が仲直りしてよかったって話だ」
「へー、そう」

チラッと雷蔵と兵助の様子をうかがうと、苦虫を噛み潰したような顔をしている。どうやら俺たちにとって、あまりいい話ではなかったらしい。やはりハチは、俺たちを恋愛対象として見ていないんだろうな。橙色に染まった空を見上げる。

それから暫くして、いつもと同じように食堂で昼食をとっていたときだった。

「オレさ、部活の先輩に告白された」

突然ハチがそう言った。沈黙。頭が真っ白になった。

「へ、へー、それでOKしたの?」

何とか声を絞り出す。

「いや、一応断ったんだけど・・・・」
「けど?」
「その人3年生でさ、卒業するまでの期限付きで付き合ってほしいって」
「じゃあまさか・・・・」
「卒業まで半年きってるし、一緒に帰るだけでいいって言われたから、とりあえずはいって言った」

だから、今日からしばらくみんなと帰れない。ごめんな。ハチはそれだけ告げて席を立った。ハチの部活の3年生なんて、俺たちから見ればパッと出のモブキャラだ。悔しいな、小声で呟く。雷蔵は泣きそうな顔でそれに同意し、兵助は箸を噛み締める。三郎はただ無表情でいた。その日の放課後から、俺たちは四人になった。

学校が休みの土曜日、三郎が俺たちをファーストフード店に集めた。

「ハチに告った先輩が誰だか判明した」
「え?」
「先日、2年生に引き継ぐまで部長をやっていた人だ!」

ビシッと俺に向かって指を突きつけた。

「こら三郎、人に指を向けるな」
「・・・・」

兵助がいさめた。その先輩については、正直あまりいい噂を聞かない。色んな女子とよく一緒にいるので、割りと多くの女子と、交際関係が疑われている。

「大丈夫なのか?」
「ま、十中八九、ハチがその先輩に恋心を抱いているなんてことはないだろう」
「卒業までか・・・・」
「明日の日曜日、デートをするそうだよ」
「どこで?」
「先輩の自宅で」
「・・・・え?」

そう言った雷蔵は、一度爽○美茶を啜ってから、持っていた携帯をこちらに向けた。携帯にメールが来たんだけど、どんな服装がいいのかアドバイスくれだって。何て返信したらいいかな。困り顔で俺たちを見回す。

「脱がしやすい服」
「兵助、そうじゃないだろう」

軽くチョップをくらわせる。

「女を初デートでいきなり自宅へ連れ込むとは」
「なれてるな」
「どうしよう。やめた方が良いって送るべきだよね。でも杞憂に終わったらただのお節介になっちゃうし・・・・」
「お節介上等。女癖があまりよくないって噂があるんだから、止めたって問題ない」

とりあえず、ハチの家に行って直接話をしようということになった。しかし、ハチは家に居なかった。ハチのお母さん曰く、急にミーティングやることになったからと先輩が迎えに来たとのこと。いやまさかそんなベタな・・・・。ハチと同じ部活のクラスメートに確認したら、ミーティングなんてないと言われた。つまり、例の先輩が嘘を言ってハチを連れ出したのだ。

「学校に行ってみよう」

俺たちは走り出した。

2012.4/7

勘右衛門たちは高校1年生。

【そんな僕らが世界の中心!5題】より
お題配布元→空を飛ぶ5つの方法

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