03


さっきご飯を食べたが酒は入る。昔は駄目だったが飲んでいるうちにいつの間にか強くなってしまった。入ると言った覚えはないが皆は勝手に歓迎ムードだ。一々いや、入った覚えはというのがだるくなったのでどーもどーもと言っておく事にした。それよりただ飯ただ酒だから楽しむわ私。

『こんな酒あるんだ!!』

「俺らの故郷の酒だ。うまいがキツいのもある。あんまり飲みすぎるなよ。」

『と、いいつつキラーさんも結構飲んでますね。酔ってるところみたいのに。』

「酔うか。」

『えー、なんでですか。酔ったらどうなるんですか?とういかストローで飲むと酔いが早くなりますよ。酔ったらその仮面とりますか?』

「酔わないしとらない。」

『えー、つまんない。』

絶対酔わない、とちょっと対抗心を燃やされなんだか可愛いと思った。もしかしたらちょっとは酔ってるのかも知れない。その仮面いつとるんだろう気になる。この海賊団になったら素顔が見れるのだろうか。聞いてみたらみれたら入るのか?と逆に聞かれた。うーん、見れるというならちょっと入ろうかなって心が揺らぐ。

「お前酒強いな。ルーキーって事は戦力的な面でも強いしさすがお頭が認めた女。」

『いやいや。』

「なぁ、なんで名前みたいな女が一億の賞金がついたんだ?見た目大人しそうだしよ!!」

『そうかな。まぁ、派手じゃないけど。化粧とかは戦いには邪魔だし。髪はおろしてるとバサバサなるし飛ぶとき邪魔だから結んでるだけ。んな暇なかったし。』

「お前の青春それでいいのかよ!!年頃だろー!!」

『年頃…なのかな。』

「なんだよそれー!」

バンバンと見知らぬクルーが酒をつぎながら背中を叩く。痛いからまじで。あんたらでかいし体格もいいんだから手加減しようよ。酔ってるのか私を仲間だと認めているのか判断しかねるところだ。まぁ、仲間になったと思われてるんだろうしな。ちゃんと否定した方がよかったかな。今いくつだ?と私の年齢あてをやっているうちにこっそり宴の端にいく。キッドがクルーと飲み比べをしていたが頭と同じ位顔が赤くてちょっと笑った。

「大丈夫か?」

『キラーさん。大丈夫ですよ。ほら、まだお酒持ってますし。あ、つぎますよ。』

「悪いな。人と群れるのは苦手か?」

『バレました?1人で旅してたのも気楽だったりしたからなんです。あ、でもこういうのも楽しいって思います。まだちょっと戸惑いが…。』

「だろうな。仲間宣言で拉致った昨日今日だし仕方ない。だが皆いい奴だ。」

『私はキラーさんが一番いい人だと思います。』

「…酔ってるか?」

『いや、素面です。でも皆外見が奇抜だからどんな人かと思ったら中身案外普通ですね。』

「サラリと毒舌だな。」

『あ、すみません。』

「いや、楽でいい。俺もそう思ってるしな。」

ククッ、と笑った彼に私もふふっ、と笑った。そんな和んでるときにドカッと目の前にファーが見えた。上を見上げれば赤、キッドだ。すっごく酔ってるのか酒臭いしにやにやしている。飲んでっかー、から肩を抱かれるが身長差がやばいので抱かれているというよりは潰されかけている。キラーさんが助け出してくれて助かった。

「名前…。脱げ。」

「は?」

『酔ってますねー。』

「キッド、もう飲むな。名前もなんでそんな普通にしているんだ。」

『だって相手は酔っ払いですよ。それに一々騒いでられないですよ。セクハラされたらやり返すんで。』

「んだよ別にいいじゃねぇかキラー。この船に女なんて初めてだぜー?」

「お前そんなに酒弱くないくせになんでそんなに酔ってるんだ。誰だこんなに飲ませたのは。」

「名前ー。」

『なんだよキッド。そんなに欲求不満かー。次の島で女ひっかければいいじゃないの。あんたもてるんでしょ?』

「名前…。」

殺気が伝わってきたと思ったらキラーさんにガンミされた。1人で旅をしてたんだから別に純粋な訳じゃないのに。男に絡まれたし飲んだ時にこれより酷いセクハラもあった。捕まった時にそういう雰囲気になって逃げる時だってあったとかきっとキラーさんに言わない方がいいんだろうな。

『こういう発言は慎みます。すみません。』

「…ならいい。」

「キラー。なんだよそんなに世話やいてよぉ。名前が気に入ったか?なんならお前がぐっ!!」

『キラーさん…。綺麗にキッドの鳩尾に、気絶してますが。』

「酔いつぶれたんだろう。」

『いや、明らか…あ、そうですね。酔いつぶれたんでしょう。まったく駄目ですね。』

「そうだな、全く。」

認めます。だからその表情がわからない仮面でガンミしないでっ。ボトルから血を動かしてキッドの下にいれる。その瞬間、酔っていても船長になにかあると思い即座に殺気を放ち武器に手をかけるクルー。さすが海賊だ。しかしキラーさんだけは腕を組んでこっちを見ていた。やっぱりこの人は強い。私に殺気がないことに気づいている。大丈夫ですよ、と言ってからフワリと血を浮かすとベッドになりキッドもうく。そのまま動かしていく。

『キッドの部屋に運びます。この方が楽でしょう?』

「あぁ、頼む。そのまま休むか?」

『そうしよっかな…。なんか疲れたし。おやすみなさい。』

「あぁ。」

キラーさんがヒラヒラと手を振ってくれるが他のクルーはポカンとしている。反応に困っているのだろう。奇抜な衣装の集団が間抜けな顔をしているのはなんか面白かった。

近づいた距離感。
(明日皆と話してみよう)




  
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