夫婦漫才ですか
「くたばレストレンジ!!」
「罵倒言葉と人の名前をつなげんな、この馬鹿が!」
「私より成績の低いあんたに馬鹿とか言われる筋合いないんですけど!?」
ギャーギャーッと大広間で互いが互いを罵っているのはラバスタン・レストレンジ先輩とファースト・ファミリー先輩。二人のこの言い争いは実は毎日のことなので一々気にする人たちはいないけれど、流石にうるさいので僕の隣のセブルス先輩が眉間にしわを寄せてイライラとしている。
そもそもあの二人は一応同じスリザリン同士なのにこんなにも相手のことを罵倒できるんだろうか。…いや、相性が最悪だろうからだけど、あの先輩方の態度はまるでハブとマングース、ホグワーツ風に言うと蛇と獅子だ。
ラバスタン先輩は基本的に竹を割ったような性格で誰からも慕われている…ファースト先輩以外は。
ファースト先輩は基本的にすごく優しいから色んな人に親しまれている…ラバスタン先輩以外は。
「…あの二人は一体どうしてお互いをあそこまで嫌いになれるんですかね?」
「さぁ、僕にもわからない。そもそもあの二人は入学してきた時点ですでに互いに殺意を持っていた」
「なんということでしょう…」
この二人は既に何かいろんな意味で手遅れだったんですね!すみません、少し侮っていましたがこの二人が喧嘩しないことなんてなさそうです!
「まぁ、喧嘩するほど仲がいいとはこのことじゃないのか?」
一瞬だけセブルス先輩は微笑んだ。
「…仲、良いんですか?アレ…」
「ここ一番といういうときにはすごいぞ」
先輩が言うにはポッターと兄さんとあの二人でのタッグの喧嘩になった時に圧倒的な連携で勝ったそうだ…まぁ、此処で強いもんな…。
「仲良いんでしたらあれは夫婦漫才のようにも思えますね…」
「あぁ、確かに」
僕たちは顔を合せて軽く笑った。
あの二人がお互い自分自身の気持ち気づくまでまだまだ時間は掛かりそうです。
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