知らない君へ悪戯
図書室の窓辺に猫がいた。
……ごめん、訂正。
猫に見えた男の子だった。机に頭を乗せて寝ている。
太陽がギンギラギンに輝いているせいか男の子の銀髪と金髪の中間っぽい色の髪がキラキラと輝きとても綺麗だ。
「よく寝ていらっしゃる…」
一応、彼の座る席が私の何時も使っている席の隣だった為に何時も通り座る。
しかしこの男の子はなんの反応もせずに寝続けている。
それにしても…と、思わず彼の顔をガン見してしまう。しかし仕方ないんだよ、これがかなりの美形なのだから。
「女の子に見えなくもないな…くっそ、羨ましいっ」
世の中にはこんなにも美形さんが存在するというのに、なんで私は…くうっ!!
あぁ、なんかこの美形男子に腹が立ってきた。仕方ない、このままじゃ彼は被害者になってしまうけどちょっと悪戯をしておこう。
あれをこーして、あーして…っと。
そうこうしているうちに誰か来てしまったので私は慌てて立ち上がって本棚の影に隠れた。
「おーい、セオドール…って何だこれ」
黒人のこれまたイケメンが先ほどの美形男子の肩をユサユサ揺らして起こす。
「……、ブレーズ…?」
「そう俺。お前その髪どうしたんだ?」
「…?」
セオドール、と呼ばれた最初の美形さんが状況を理解していないで寝ぼけた様子のままブレーズと呼ばれた男子の鏡をみる。と、寝ぼけが無くなっていったのだろう、みるみる顔を赤くさせていった。
「…っ!!」
「やられたな」
「誰が…っ」
キョロキョロとセオドールは「その悪戯」をした犯人を探していた。その光景があまりにも面白かったので、私は慌てて悪いと思いつつも笑いながら図書室を出ていった。
因みに、だ。
私がした悪戯とは、彼の髪に沢山の可愛いヘアピンを付けることだった。
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