shortstory | ナノ


  今世紀最大の爆弾発言


「好きですっ」



「…何であのこを振ったのかいまだに理解出来ないわね」

「何で君が不満そうなんだろうか」

何故か怒っているファーストに対して呆れて溜め息を吐く。

「オリオンはもっと人間らしくしたほうがいいと思う」

「…意味が分からないよ?」

「オリオンは暗い」

「失礼な」

「だから彼女が居れば少しは明るくなって普通の人間らしくなると思った」

随分突飛な話だとは思った。が、彼女なりに俺を心配してくれてるのもよく分かる。

だが、正直女性一人で何か変わるとも思わない。

「あまり公にはなっていないが、そもそも僕には婚約者がいる」

「……マジですか」

「マジです」

彼女は相当驚いたらしく、いつも眠そうな目がはっきりと開かれた。

その姿に苦笑しつつも話を続ける。

「再従兄弟のヴァルブルガと6歳の時に親から言われた」

「ヴァルブルガ先輩と…」

「だから僕は恋人等作らないし、作る気もない。婚約者だけで十分だ」

「リア充め」と言いながら舌打ちをする彼女に対して再び苦笑をしてしまう。
しかし、それと同時に少しだけ残念だった。

いくら婚約者が居るからと、恋人は作らなくても、恋はいつの間にかしてしまう。
そして、いつの間にか好きになっていたファーストが、もしかしたら僕のことを好きになってくれているかも…と、女々しいと分かっていながらも思ってはいてしまった訳だ。

しかし、婚約者の話をしてもこの反応じゃどうやら駄目みたいだった。少しじゃなく、かなり残念だったりする。

「まぁ、人の心配をする暇があったらファーストも良い男を見つけなよ」

「そう、ねぇ…」

唇に指を添え、ファーストはニッコリと笑った。

「私も恋人はいらないや」

「…はぁ」

「だって、さ」

ファーストは大きく息を吸って、もう一度ニッコリと満面の笑みで笑った。

「私はオリオンが好きだから」

それだけ言ってファーストはスキップしながら先に行ってしまった。

「…、……!?…………っ!!?」

失恋したと思ったばかりなのに、まさか失恋なんかしていなくて。

それだけじゃなくて、婚約者がいるからという理由で恋人を作らないと言ってしまったことを割りと公開していて、

それから、今絶対に赤いであろう顔をどうしようか…も考えており。

「(あ、あのバカ…っ)」

とりあえず、うん。
ファーストの爆弾発言によって冷静さは失った。



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