shortstory | ナノ


  隣のあの子に恋をした


「私彼氏と組むからファーストも別の人と組んで!」

「うそん」

魔法薬学の時間、友人(リア充)が彼氏と組んだために私今ぼっちなう。
てゆーかね?いつもなら一人一人が個人で授業をするはずなのに今日に限って何で二人一組でやるの。ハッフルパフ生は奇数の人数しかいないっつーの!!

「しかも今年はスリザリンと合同なんだよ!?わーたーしーとー組ーんーでー!」

「ごめんねっ私友情より恋愛を取るタイプなのよ」

「絶望した!友人の恋愛脳っぷりに絶望した!!」

これでスリザリンが偶数人数だったら私もリア充のところに無理やり入れてもらえたかもしれないのに、スリザリン奇数の人数だから!しかも今日全員居るとか!なんなのお前らっ何人か休めよ!!おまえら頑張りすぎだよ!!

「さっファーストもスリザリンの所に行く!」

「う、うぅ…」

べつにこの子だけじゃなくてもハッフルパフに友達はいるけど、他の子達も既に二人組になっていた。

「ファミリー」

「へ、あ…Ms.ブラック」

ポンッと私の肩を叩いたのはスリザリンのナルシッサ・ブラック。私よりも身長が低いため、じっと私を見上げている。流石ブラック家、美人…てか可愛い。

「私スリザリンの余りだから貴女と組むわ」

「あ、はい…」

余りって。
ブラック家の御令嬢だし取り巻きも多い彼女とやりたいと思う人は多いと思うのだけれど…そう思い、チラッとスリザリンの集まりを見ると男子生徒中心にギロッと睨まれた。
…うん、何か元々嫌われていたのにさらに嫌われた気がする。この場に6年生のマルフォイがいなくて良かった。てかそんなに睨み付けるなら、彼女を余らせるなし。

「…ファミリー?」

「ん、ごめん!やろうかMs.ブラック」

「えぇ」

こっくりと頷くMs.ブラック。可愛い、可愛いんだけどさ…さっきから無表情だからなに考えてるのか分からん。

さっさと材料を持ってきて鍋に教科書通りの手順で入れるのはMs.ブラック。…けれど私には何故か材料も鍋も触らせてくれない。

「あのMs.ブラック。私も薬提出しなきゃいけないの、だから手伝いたいなー…なんて」

「貴女の分も私が作ってるから平気よ」

「さ、左様ですか」

うーわー…スリザリンの連中に「なにナルシッサにやらせてんだよ…」みたいな目で睨まれてるんですけどー。
…もしかしたらMs.ブラックは私が薬を作る前に鍋を爆発させるとでも思っているのだろうか。これでも魔法薬学は得意なんですが…。

作ろうとしても触るなと言われたようなものだから触れずにうずうずして鍋のなかをチラッと見る。…あ、あれちょっとしたら混ぜた方がいいと思う。

作りたいなー…というオーラ?を出してみてじっとMs.ブラックを見つめると、彼女は私の視線に気づいたようで今まで葉を切っていた包丁を止めた。

「…やりたいの?」

「やりたいです!!」

「そう。………鍋をかき混ぜる位なら良いわよ」

その言葉に思わず今まで座っていた椅子からガタッという音を立てて立ち上がった。幸い、話している人たちが多かったから注目はされなかったけど。

「火傷とか…そういう類いは絶対にしないでちょうだい。貴女の肌、とても綺麗なのだから」

「?はいっ」

何を言っているんだ、Ms.ブラックは。私より貴女の方が綺麗な肌をしているのに。

鍋をよーくよくかき混ぜると、今まで濃い緑色だった薬の色が段々薄くなっていき、最終的に教科書に載っている通りの薄さまでなった。

「すごいわね」

「えっへっへ、魔法薬学は割と得意だから!!」

「そうなの」

切った葉を鍋のなかに落としていったMs.ブラック。
その時の彼女はまるで聖母マリアのような慈愛に満ちた微笑みを浮かべていて、私の中でも何かが堕ちた気がした。

…スリザリンの人も悪い人ばかりでは無いのかもしれない。

■おまけ

「ブラック、おれとやろうぜ!!」

「いや俺と!!」

「失礼。私ハッフルパフのファースト・ファミリーとやりたいの」

『…え』

「その為に彼女の友人たちにも彼女と組まないように呪文をかけたのだから」

『え?』

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -