花梨を君に
「先輩おめでとうございますっ」
「おめでとうー」
「ありがとう、後輩」
ホグワーツに来て七年目の時間があと一時間で終わる。つまり私たちの学校生活ももうすぐ終わってしまうのだ。
流石に七年もホグワーツで、グリフィンドールで生活してきた私はホグワーツを立ち去りたくないと割と本気で思ってる。
「留年したいー」
「それはやめなよ」
「本気でする訳無いじゃーん」
留年をするつもりはないけれど心残りはいくつかあるわけでして。だから何とかして卒業を遅らせられないかなー、てのは考えていた。
「あ、おいっファースト!」
「シリウス」
さっきまで私と同学年の女子に囲まれていた後輩のシリウスの今の格好は実にぼろぼろだった。何で女子と戯れただけなのにクィディッチ終了したときみたいに汚れてるんだ。
それでも、そんなぼろぼろな姿が気にならないくらい今シリウスが話しかけてくれたことが嬉しかった。女子の群れには入らなかったけど私もシリウスのことが好きだったから。
「どーしたの」
後輩の癖に私より頭一つ分でかいシリウスを見上げる。
シリウスは何かに焦っているような、言いづらそうな…何とも言えない複雑そうな表情をしていた。
「えっと、まず卒業おめでとう」
「ありがと」
「それからこれやる」
スッとシリウスに渡されたのは薔薇のような花。…てゆうか枝ごと付いてるんですが。
「これなんの花?」
「花梨。…で、えっと。俺いつも色んな女子と一緒に居るし、親友三人と居たりもする。けど、俺の一番はファーストだから!お前しか見れないから!!」
「?そう、ありがとね。嬉しいよ」
意味は分かんないけど。
何故かグリフィンドールの生徒たちから生暖かい目で見られたけど…ま、いっか。
刮ヤ梨の花言葉:唯一の恋
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