依存
「御早うベラトリックス…随分遅いご帰宅ね」
「ちっ…ファーストか」
朝の4時を廻ったと思う。
そんな早すぎる時間にスリザリン寮の外からやってきたベラトリックスはいつものように夜遊びをしてきたようだった。
「今週に入ってもう四回、止めるつもりは?」
「…無いね」
「あぁ、そう」
仮にも名家ブラック家の長男なんだからこの乱れた生活はなんとかしてほしいものだと思う。
しかも私とベラトリックスは一応婚約者でもあるのに、その私に他寮生との密会を隠そうとしていないのには多少なりとも呆れを覚える。
「全く…大体純血主義の貴方が純血主義以外の女性を抱けるというのが不思議なところね」
「そりゃあ当たり前だろ、純血主義の家の奴とヤったら後々親父の耳に入るだろ。そしたら『面汚し』と怒鳴られるに決まってる、そんなの面倒だろ」
「…それ以外との性行為にも面汚しかと思う」
「仕方ないだろ、恋人居ないのに俺性欲強いんだよ」
「婚約者の前で言う?」
「関係ないねー」
…ま、私も実際のところ婚約者とかどうでも良い。だからもしベラトリックスが恋人作っても気にはしないんだけど。
「あ、ファーストがヤってくれるなら今後他の女とやらないかもな」
「口説いてるとみて良いの?」
「お好きに」
「そう」
でしたら遠慮なく好きに想像させてもらおう。
気だるそうに突っ立っているベラトリックスのネクタイを引っ張って床に押し倒し、その上にまたがらせて貰った。
しかし、ベラトリックスはその体勢になっても焦る素振りもみせず、むしろニヤニヤと楽しそうに笑った。
「優等生様が珍しくノリ気か?」
「あー、いえ。性行為はしないわよ?」
「はぁ?ここまでして何言ってんだ」
明らかに疑わし気な目でベラトリックスに見られてる。半眼なせいで威圧感がヤバい。
「…ベラトリックス」
彼の腹から立ち上がり、にっこりと微笑んでみせる。
「私達が結婚したら貴方の身の回りのことは全て私がして差し上げるわ。料理、洗濯、掃除は下僕妖精がするのではなくて私がして、料理は貴方に食べさせて差し上げるし着替えも私がして差し上げるわ」
「必要以上に尽くしてくれるんだな」
「えぇ、私はあなたの妻となるのだもの。…だからあなたが今のようにふらふら何処かの女性の所へ行かないように死喰い人の集まり以外ベッドの上で生活していましょうか」
「お、おい…ファースト?」
「楽しみね、ベラトリックス」
恋してはいないけどただの依存はしている
prev /
next