闇の精霊との契約にも成功し、残すは光のみ。リンカの木を復活させて笛を作り、呼び出したアスカに、ルナと共にでないと契約したくないと言われ。ではルナと契約する時に来てくれ、と約束して。
マナの守護塔に向かう前に、トリエットでアイテムの補充をすることにした。
異変は、既に始まっていた。

(また、だ)

不意に。前触れもなく、頭が痛くなる。

(風邪…かな)

鈍い痛みが数分間続き、それに耐えれば何事も無かったように消え去る。戦闘中、食事中、体を休めている時でも、お構い無しに痛みはやってくる。もちろん、今までこんなことは無かった。
ズキリ、と頭が痛くなって、眉を寄せた。痛みがある間は戦闘にも集中出来ない。風邪でも引いたのかもしれない、皆に迷惑をかける前に治さなくては(幸い、まだ誰にも気付かれていないようだし)。
痛みが引いて、漸く肩から力を抜いた。大きな溜め息を吐き出すと、同じ部屋にいたコレットが心配そうな顔で声をかけてきた。何でもない、と笑顔で返して、それ以上の会話を拒むように剣の手入れに集中する。

(ごめんね、コレット。ありがとう)

今は、とても大切な時期だ。最後の精霊と契約し、マナの楔を抜き放つ。そのためには、ここで足を止めるわけにはいかない。
こんな頭痛、放っておけば治るだろう。リフィルに相談するまでもない。

「クライサ、どこか行くの?」

「散歩。明日はマナの守護塔に向かうんでしょ?ちょっと緊張解してくる」

手入れを終えた剣を鞘に仕舞って、腰掛けていたベッドから立ち上がった。行ってらっしゃい、と笑ってくれたコレットに手を振り返し、部屋を後にする。廊下には誰もいない。一階から、ロイドやジーニアスたちの明るい声が聞こえてくる。
また、痛みが襲ってくる。頭を押さえて、小さく舌打ちした。





予感は裏切らない



 
 04 


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