二つの世界を統合させるため、マナの楔を抜き放つことが今の一行の目的だ。
クライサが加わるまでに契約した精霊は、水・雷・地・氷の四体。そして彼女を含めたメンバーで、更に火・風のニ体とも契約を済ませた。残るは闇と光のみとなり、まずは闇の神殿へと向かうことにした一行だが、疲れが溜まっていたのだろう、メンバーが次々と不調を訴えた。
この機に少し体を休めよう、とミズホの里に暫し滞在することを提案したしいなに反対する者はおらず、今に至る。

「ロイドの剣術って我流なんだよね」

振り下ろされた刃を右手の剣で受け止めて、クライサは言った。それに返すのは、少女の反撃に冷静に対処したロイドだ。

「ああ。そう言うクライサもだろ?」

「そ。ちょっと軍隊格闘とかその辺を組み込んでたりするけど、ほとんど我流だね」

他のメンバーはそれぞれ休んでいるのに、彼ら二人だけはそうしなかった。毎日鍛練を忘れないロイドに、クライサが手合わせを頼んだのだ。
こんな時にまでご苦労なことだ。木陰でその様子を眺めながら、ゼロスが呆れ混じりに呟く。

「てあっ!」

「だから違うって。今みたいな時は、こう刃を返して…」

「あ、そっか」

クライサは元の世界にいた頃も度々剣を使うことがあったが、それ以上に体術のみで闘うことのほうが多かった。そのうえ身近に二刀使いはいなかったので、誰かから剣術として教わった経験も無い。
それゆえ、以前から二刀流剣士として魔物と戦闘を繰り返しているロイドに指南してもらっているのだ。

「ロイドに教わる…って、なんかちょっと屈辱的なとこあるよなぁ」

「聞こえてるぞーゼロス」

「確かにそうなんだけどさ、ロイドって戦闘におけるセンスは結構いいんだよね。バカだけど」

「クライサまでそういうこと言うなよなー…」

そうやって、魔術はジーニアスとゼロスから、剣術はロイドから学んで、クライサは着々と力をつけてきている。パーティーの足を引っ張る心配は全く無さそうだ。

(ただ、)

「何?ゼロス」

「……いや、何でもねーのよ、クライサちゃん」

(エクスフィアも装備せずに、これだけの力を持つなんて)

再びロイドに向き合った少女を、ゼロスは細めた目で見つめていた。





注意すべきは、もしかしたら





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