異常発達して随分と大きくなったヒッカリカエルもといノストロビアは、カゴに積まれたカマボコグミをぱくぱくと食べている。

「うわぁ、なんだろうこの画……カエルがグミ食べてるってすごいシュール……」

「来るぞ!」

クライサは嫌そうに顔を歪めながらも、襲いかかってきた魔物に対するべく双剣を抜く。ノストロビアの周囲では既に火の手が上がっていた。
退治を終え、暫くグミ自体の生産は控えたほうがいいとベルクに進言すると、彼は村の者たちと検討すると頷いた。

「すみません、エミル。あなたが正しかったようです。ノストロ……いえ、ヒッカリカエルがカマボコグミに惹かれていたとは……」

「ううん、僕こそ酷い言い方しちゃって、ごめん」

エミルとテネブラエの仲直り(?)も済んだようだし、とりあえずこれでひと安心と言えるだろう。先にロイドを追ったリフィルらのことも気になる、リーガルの言葉に頷いてクライサたちはイズールドを後にした。

船に乗ってやってきたのは、雪の街。暫くぶりに訪れたフラノールを、クライサが懐かしむ余裕は無かった。街の至るところで人々が倒れ、建物は破壊され、火の手が上がっている箇所もある。何者かに襲われたことは明白だった。
倒れた人を抱き起こすと、彼は息も絶え絶えに言った。ロイドが、と。

「ロイド!?ロイドがやったの!?」

返ってきたのは肯定だ。エミルは怒りに肩を震わし、リーガルは信じられないと首を振る。事切れた男を地面に横たえて俯くマルタ。クライサは冷静に辺りを見回してから眉を寄せた。
その時、崩れかけた建物の陰から人が出てくるのを、リーガルが目撃した。そのまま立ち去ろうとする人物を、彼は呼び止める。

「待て、ロイド!」

その声に反応して、エミルとマルタが振り返り、そして彼もまた足を止めた。リーガルは問う。この惨状は、本当にお前の仕業なのかと。

「……先を急ぐ」

「てめぇっ!」

問いに答えず歩き出したロイドに、ラタトスクモードのエミルが斬りかかった。しかし振り下ろした剣は簡単に防がれてしまう。

「……腕を上げたな」

「何っ……!?」

「ますますのんびりできなくなったよ」

そしてロイドは去ってしまった。レアバードの発進音を聞きながら、エミルは悔しげに顔を歪める。あれが今のロイドか、と呟くリーガルの横で、マルタは怒りのこもった目でめちゃくちゃになった街を見回した。

「あいつはいつだってあんな風……!どうしてこんな酷いことを続けられるの!!」

「ううん」

クライサの否定に、エミルが顔を上げた。マルタとリーガル、テネブラエも彼女に振り返る。

「違うよ」





これは、ロイドの仕業じゃない




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