イズールドでは立て続けに放火事件が起きているらしく、犯人を逃がさないためにと船を出してもらえない。と言いつつ犯人は既に捕まっているようなので、恨み言でもぶつけてやろうかといきり立つクライサを先頭に、牢屋に足を運んでみることにした。
しかし、鉄格子の向こうにいた人物に、彼女とセイジ姉弟は目を見開いた。

「リーガル!?」

「ジーニアスにリフィル、それに……クライサか?」

「リーガル……会長職のストレスを発散するためにこんな事件を起こすなんて……」

「いや何納得しちゃってんのクライサ!?リーガルに限ってそんなことあるわけないでしょ!!」

「ジーニアス、人は変わるものだよ」

「クライサって絶対ロイドのこと信じてないでしょ」

どういうことなんだと尋ねても、リーガルは私にもわからないのだと首を振る。
ロイドを見たというグミ職人、ベルクに話を聞いていた時、突然謎の光に包まれて気を失ってしまったらしい。気がついた時には建物が燃えており、同じように気絶したベルクを連れて外に出たところ、連続放火魔として村人に捕まってしまったのだそうだ。

「それなら話は早い。そのベルクって人に無実の証明をしてもらえばいいんだよ」

「……それが、ベルクはまだ意識が戻っていないらしいのだ。火事で煙を吸い込んだのかもしれぬな」

「なーる。ま、とりあえず行くだけ行ってみよ」

「そうだね。もしかしたら私たちの治癒術で治せるかもしれないし」

自宅で療養しているというベルクを訪ねても、やはり彼はまだ目覚めていないようだった。リフィルが彼を診ようと近付く。その体にある模様を見つけて、口を開いた。

「これは……まさか、ヒッカリカエルの毒じゃ……」

「ヒッカリカエル?」

彼女の言葉にテネブラエが反応した。どうやらリフィルが言う『ヒッカリカエル』とは本来『ノストロビア』という名の魔物のことで、前者は人が勝手につけた名前なのだそうだ。
この魔物は、高エネルギーを体内に吸収すると発光発熱して、皮膚に触れた生物を昏睡状態にするらしい。もしかしたら、この辺りを荒らしてる放火魔というのはヒッカリカエルのことなのかもしれない。

(それにしても…)





なんつーセンスの無い名前




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