キン、キィン、と音を立て、彼らは舞い続ける。剣を振るい、受け止め、或いは避け、まるで示し合わせたかのように掠り傷一つ負うことなく、舞のような戦闘を繰り広げている。

「獅子戦吼!」

激しい闘気をぶつけられ吹き飛ばされながらも、空中でくるりと回転して危なげなく雪の上に着地した。同時に、魔神剣・双牙、と声を張って剣を振る。生まれた衝撃波を、ロイドは横に跳ぶようにして避けた。

「さすがロイドだね。腕も上がってるみたいで嬉しいよ」

当然だ。クライサがこの世界を離れてから、彼は二年の月日を過ごしたのだ。さらにロイドのことだから、その間も剣の修行は欠かさなかっただろうし、世界再生を望まない者から狙われることもあっただろう。
クライサが剣で敵わないのは当たり前なのだ。そもそも、彼女はロイドに剣術を指南してもらっていたのだから。

「まだやるのか?剣で俺に勝てるわけないって、お前ならわかってるだろ」

「わかってるよ。……剣で、ならね」

ニヤリと少女が笑うのを目にして、彼は素早く身構えた。クライサの口が、サンダーブレード、と短い言葉を唱える。そこらの魔物では反応出来ないだろう速さで、一瞬前までロイドが立っていた場所に、巨大な雷が落ちた。

「ネガティブゲイト!」

雷を避けたロイドを、既にクライサの目は捕らえていた。舌打ちして、彼は素早くそこを離れるべく地面を蹴る。しかし避け切れないことを悟り、かつての旅で父が教えてくれた防御術を発動し、彼女の魔術をその身に受けることを防いだ。
生まれた、一瞬の油断。それを見逃すほど、クライサは甘くなかった。

「……ーーの下、この穢れた魂に裁きの光を……」

しまった。防御術を解くと同時に、ロイドの目が大きく見開かれる。彼の視線の先で、少女がニィ、と笑った。

「ーージャッジメント」

詠唱を終えたその人の、無邪気とも言える笑顔。上空から、ロイドに、彼女の周囲に、無数の光が降り注いだ。





あたしを、ナメるなよ




 07 


[index]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -