パルマコスタ。大樹暴走や血の粛清で崩壊したと聞いていたそこは、住民たちの手により見事に復興されていた。以前の旅の際に手助けした、ルイン復興を思い出す。彼らを見ていると、人は強いのだと、元気を分け与えられるような気持ちになる。
とりあえずはロイドに関する情報を集めようとエミルやマルタたちと別れ、久しぶりのパルマコスタの街を歩いてみる。整備された道や教会はそのままだが、学校が無くなっていた。

エミルたちと合流してから話を聞いてみると、ロイドの情報は聞けなかったし、海がしけているため船が出ないのだそうだ。その原因を調べにシルヴァラント王朝に向かったという男性を探しに行くことになった…のはいいが。

「……二人とも、どうかしたの?」

何だか考え込んでいるエミルとマルタ。振り返って尋ねてみれば、二人同時に何でもないと首を振った。

(こりゃ、あたしがいない間に何かあったな)

口は開かずに視線だけで訴えると、二人は少し躊躇った後、仕方ないといった顔で話し始めた(一緒に旅してる以上、ちゃんと話してくれなきゃね)。パルマコスタで会った二人の男のことを気にしていたらしい。
エミルが気になっているのはリヒターという男。旅立つ前に出会って、内気な自分に勇気をくれた、とどこか嬉しそうに話していた。しかし彼はヴァンガードの幹部で、ラタトスク・コアを狙ってマルタを殺そうとしているらしい。
そして、マルタが気にしていたのはリヒターと対した時に助けに入ってくれた男。決して恋したとかいう意味ではなく、その外見と名前が気になっていたらしい。

「赤い長髪の男の人で、ゼロスって名乗ってたんだけど……」

「ゼロス!?」

なんてこった。メルトキオでなくこちらにいたのか。畜生、上手くいけば色々情報を聞けたかもしれないのに……

「え、もしかして知り合いなの?クラウス」

「あ……えっと、名前が同じだけかもしれない……」

……そうだった。今の自分はクライサでなく、クラウスだ。せっかく偽名を使っているのだから、ここでバレてしまっては意味が無い。

「……そうなんだよね……名前が同じってだけかも……」

「?何が」

「赤毛でゼロスって、テセアラの神子と同じなんだって」

「でも全然神子っぽくなかったから、違う人なのかなって僕たちは思ってるんだけど……」

「(確実にアイツだ)」





相変わらずらしくて、安心した




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