話が横に逸れた。本題に戻る。

「んで、奴らのアジトってどこにあんの?体力戻ったら潰しに行かなきゃ」

あの時、クライサは襲撃に来たディザイアンを全ては倒さなかった。
最初に魔術でゼロスを攻撃した者含め、襲いかかってきた者はみな倒した。だが、どこかで状況を見ていた筈の者たちを、捕らえずに逃がしたのだ。
その者たちは必ず、神子抹殺の失敗を報告するためにアジトに戻る筈だと見て、クライサはミズホの民に追跡を依頼した。その結果を、今目の前にいるしいなが持っている。

「あー、それがねぇ……」

だが、そのしいなは、気まずそうに頬を掻いた。
どういうことだ。彼女らの能力の高さはよく知っているし、先程しいなは『バッチリだ』と言った。ならば追跡の失敗を告げるつもりではないだろう。続く言葉を待つクライサに、しいなは苦笑した。

「もう既に、ゼロスが潰しちまったんだよ」

「…………はぁ?」





After Story/11
空白の間






しいなから事情を聞いたゼロスは、まず真っ先にミズホの民が掴んだディザイアンのアジトの情報を求めた。その後ロイドやコレットたちに協力を仰いで、早々にそれらを潰して回ったらしい。彼らがアジトにしていた旧人間牧場を再度爆破して回ったリフィルは、それはもう楽しそうだったと聞く。

「あんたに大怪我を負わせたこと、よっぽど許せなかったんだろうね」

「余計なことしやがって……」

「……え?」

「あたしが暴れる機会無くなっちゃったじゃないか……せっかく気兼ねなく破壊して回れると思ったのに……」

「…………」

なんだ、それじゃあ暇になってしまった。
ゼロスのことだからどうせ、調子が戻るまでは護衛の仕事もしなくていい、とか言い出すのだろうし。数日の間は暇になってしまいそうだ。
…………。
そうか、これでディザイアン関連の問題は無くなったと言っていい筈だ。しいなの報告を聞く分には、新たに問題が発生した様子もないし。
…………。

「ねぇ、しいな。もう一つ頼んでいいかな」

「なんだい?言ってみな」

今回のようなことがあったからには、もうゼロスは敵に無防備な姿を晒すようなことはないだろう。元々、護衛の必要もないぐらいには強いのだ。ディザイアン以外にも彼には敵が少なからずいるが、その辺の心配はない筈だ。

「ロイドに会いたいんだ。繋いでもらえない?」

「ああ、もちろんいいよ」

「ただし、ゼロスには内密にね」

「……ああ、構わないけど……あんた、まさか…」





潮時だね




 AS-11 


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