世界再生直後の混乱を抑えたあたしたちは、各々の目的のためにとりあえず解散することになった。

ロイドは世界中のエクスフィアを回収するために旅に出て、コレットはそれについていった。ジーニアスとリフィルは、ハーフエルフの差別を無くすために各地を回っている。クラトスは、クルシスが所有していたエクスフィアを持ってクルシスのハーフエルフたちと共にデリス・カーラーンで宇宙を彷徨っている(いや、彷徨うという言い方は正しくないか。エクスフィアを宇宙空間に捨てているのだそうだ)。
リーガルはレザレノに戻り、世界の安定に尽力しているらしい。プレセアは、その手伝いをしながらオゼット復興を目指すそうだ。しいなはミズホの里で、次期頭領として頑張っているだろう。ゼロスはメルトキオで、神子の権力を活かしてシルヴァラントとテセアラの交流なんかを手助けしている。

あたしはと言えば。





After Story/01
世界再生、その後で






「次!」

重い物が倒れた音に次いで高い金属音が鳴る。新たに地を蹴る音が響き、日の光を反射した刃の輝きを視界に入れると同時に剣を振るった。

「次、次、次ぃ!……なんだ、どいつもこいつも根性無いなぁ」

片刃剣の峰を急所に叩き付けてやった男たちは、地面に倒れて痛みに呻いている。その数二十。狙いは一人だろうに、よほど自分たちの力に自信が無いらしい。
倒れた彼らの始末は城の門を守る兵たちに任せて(何しろここは城の真ん前なのだ)、あたしは開いた扉の向こうにいる赤髪を一瞥してから、残った最後の男に剣先を向けた。

「さ、降参して連行される?それとも気絶して連行される?」

「くっ……神子の犬め!!」

問答無用で叩きのめさずわざわざ選択の猶予をやったというのに、事もあろうに相手は斧のような武器を振り上げて襲いかかってきた。先述のようにのたまって。

「蒼破刃!」

「ごふぅ!!」

ああビックリした。驚いてつい会得してない筈の技ぶっぱなしちゃったよ。
衝撃波を腹部に食らってぶっ飛んだ男を兵が囲む。双剣を鞘に収めて荒々しく腕を組んだ。まったく、だれが『神子の犬』だ。軍の狗とは呼ばれ慣れているが、奴に飼われているつもりも忠誠を誓った覚えも無い。単に、神子の命を狙う奴から、雇われの身として彼を守ってやっているだけのこと。

「お疲れさん」

「ゼロス」

城での仕事を終えたゼロスが悠然と歩いてきた。そして徐に手を伸ばすと、奴曰く『ちょうどいい高さにある』らしいあたしの頭を撫でだした。

「これからもご主人様のために頑張ってくれよ」

先程の『犬』発言をバッチリ聞いていただろう男のにやけ面に、獅子戦吼混じりの拳を叩き込んでやったのは言うまでもない。





『雇われてやった』だけの話




 AS-01 


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