仕掛けられた罠に苦しめられていたジーニアスらは、ゼロスとクライサに助けられて、無事コレットの元へ向かったロイドに追い付いた。ゼロスの裏切りの真相も知って、アイオニトスも手に入れて、コレットも戻ってきて。そこまではいい。問題は。

「さぁて。お仕置きの時間だよ、ミトスくん」

立ち塞がったプロネーマを獅子戦吼一発でぶっ飛ばしなさったクライサが、一人でユグドラシルに立ち向かおうとしているのだ。ロイドたちはもちろん見学しているつもりは無いのだが、何しろ彼女が放つ殺気が恐ろしくてしょうがない。そばにいるだけで(精神的)大ダメージを受けそうだ。

「ふん……貴様のような小娘に何が出来る」

「アンタなんぞに小娘呼ばわりされたくないね、このシスコンタイツ」

「……いいだろう。まずは貴様から片付けてやる」

「はっ!上等だね。ロイドたちは下がってな、巻き込まない自信無いから」

そんな彼女の言葉に従って数歩後退り、身構えて睨み合っている二人を見守る体勢になりかけてからいや待て違うと首を振る。なんでタイマン始めようとしてんのこの人たち。参戦云々よりまず止めに入ろうと足を踏み出した彼らの目の前で、クライサの体を見覚えのあるオーラが包んだ。

「歯ぁ食いしばんな」

オーバーリミッツしなさった。にやぁ、と笑った顔は、もうどっちがボスだかわかりません。それを真正面から向けられたユグドラシルの心境を思って、ロイドたちは身を震わせた。
基本攻撃六発に特技秘技奥義と繰り出し(スーパーブラスト装備中)、相手からの攻撃には半ば無敵状態。獅吼旋破でユグドラシルを吹っ飛ばした瞬間、ある筈の無いカメラが彼女に寄った気がした。

「全力で後悔しな!」

カットイン入りました。鋭い斬撃が四方八方から次々に襲いかかり、ユグドラシルは回避もガードも出来ないままメッタ斬りにされていく。時々蹴りが混ざっては急所に打ち込まれていくのがもう不憫でならない。一撃一撃の被ダメージが凄い数値を示している上にコンボ数が半端ないよお嬢さん。容赦の欠片も見当たらない。

「そら逝け、殺劇舞荒剣!」

最後の一発を命中させると同時に画面が真っ白になった。画面って何だ。信じられない顔でユグドラシルが崩れ落ちる。俺たちも信じられない。ロイドらはスッキリ顔でレベルアップなんかしているクライサを呆然と見つめていた。





何だったんだ、今の




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