盗み聞いた話を纏めると、ユアンはじめレネゲードの目的は精霊オリジンの封印を解除することで、その封印を施したのはクラトス。レネゲードは彼に言うことを聞かせるため、クラトスの息子であるロイドを手中におさめたがっていた。そして今、まさにロイドの命を盾に封印の解除を要求していたのだが、なかなか聞き入れられず……息子に向けられた攻撃をクラトスが庇って受けた。……って感じで大体あってるよね?」

「あー、うん。あってるから、せめてもう少し空気読んで登場してくれ」

「やだよ、面倒くさい」

盛大な音を立てて扉を開け、家の中から出てきた少女の姿にレネゲードは身構えた。しかし彼女は特に行動を起こすでもなく言葉を連ね、最後には首を傾げてロイドを見る。つい先程までパニック状態に陥っていた筈の少年は、クライサの場面お構い無しの登場方法にすっかり頭が冷えてしまっていた。良かったような、そうでもないような。

「いいじゃん別に、父親の一人や二人増えようがさ。ちょっとお得じゃん」

「ああ、なんかお前見てたらどうでもよくなってきたよ」

「クライサちゃん、ほんと頼むから場面読んでくんねーかな。ここ、本来はコレットちゃんか俺さまがちょーいいこと言うとこだから」

「知らないよ。そんなの原作でやりゃいいじゃん」

「世界観台無しにするのはいいが、そろそろ我々を無視するのはやめないか」

「そこで扉のそばに立っていたゼロスとコレットの脇を通り抜け、家から金髪の少年が出てきた」

「(結局無視するんだな…)」

「またやんの、その説明口調」

「何この雰囲気。僕もっと重い空気の中で格好良く登場する筈だったよね」

「『はっはっは、ワシの正体はユグドラシルなのじゃ!』ミトスが顎にたくわえた髭を撫でると、彼の体が光に包まれます。光が晴れた時、そこにいたのはなんとミニスカメイド服に身を包んだいい歳したオッサンでした」

「でしたじゃねーよ。いい加減そのふざけた口閉じないと殺すぞ」

「ああ?タイマンなら受けて立つぞコラ」

「ラスボス相手にタイマン発言やめてくれよクライサちゃん」

「そ、そんな…ミトスがユグドラシルだったなんて!」

「ジーニアス…君ならきっと正しいリアクションをとってくれると思っていたよ…」

「っていうかジーニアスたち出てきてたんだ」

「とりあえず誰かこの状況なんとかしろ」





クライサ・リミスクの本領




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