あたしの身に何が起きてるのか?そんなもの、あたしが一番知りたいに決まってる。
はじめは本当に、風邪引いたかな、程度の頭痛だけだった。それは時間を重ねるごとに全身に広がっていき、今では心臓の辺りを中心に度々激痛が走るようになった。
もちろん理由はわからない。誰かに話したところで原因が判明することは無さそうだし、問題を多々抱えている状態の皆に余計な心配をかけたくないので、ただ黙っている。幸い、耐えられない痛みではない(それでも、痛いのは痛いけど)。

「…っぐ、ぅ……」

建物の裏で、痛みと吐き気を必死で耐えた。
ゼロスに知られたあの晩以降、少し精神的に安定したせいか、以前ほど頻繁に痛みが襲ってくることはなかった。一日に二、三度程度。気を抜けばすぐやってきていた以前より、ずっとマシだった。

「…は、ぁ……くっ!」

だというのに、どうして。
修道院を訪れた途端、以前より強い痛みが襲ってきた。ゼロスがクルシスの輝石を受け取って、全員で建物を出た後も、痛みはおさまらず、その上吐き気までしてきた。ああもう、本当に。あたしの体は、どうなってしまったんだ。

「クライサ、すごく顔色悪いよ!」

だろうね。だって、こんなに苦しいんだ。

「少し休みましょうか?そんな状態で敵陣に乗り込むなんて、無謀過ぎるわ」

それは嫌だ。あたしは、足を引っ張るためについてきたわけじゃない。

「大丈夫だよ」

そう言って笑ってみせても、誰も納得した様子はなかった(そりゃそうだ)。けれど、時間が無いことはみんなわかってるから、あたしの言葉に乗ってくれた。そうだよ、今はコレットを治してあげることを優先しなきゃならない。

「!!」

ふと肩に手を置かれて、抑え込んでいた痛みが、堰を切るようにして溢れ出てきた。それに呼応するように両肩が跳ねてしまい、まずい、と口の中で溢す。
振り返った先の彼は、案の定、驚愕や戸惑いが混ざったような顔で固まっていた。

どうして?昨日まで、ううん、ついさっきまで平気だったのに、急に。
ゼロスに触れられると、痛い。

一瞬で目の前が真っ暗になる。また胸が痛み出した。
意識が途切れる直前に見た、彼の持つ輝石の色が、瞼に焼き付いて離れなくなった。




痛い、色



 07 


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