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「目標は鋼の錬金術師に似た男!間違えるなよ!機械鎧じゃない奴だぞ!!」
「東門、ブルー隊急げ!!」
「西門、ホワイト隊は西棟の影に!!」
ブリッグズ兵たちの攻撃は続き、彼らの協力を得て『フラスコの中の小人』の近くからエドワードたちは退避することが出来た。
各隊から受ける攻撃を、しかし『フラスコの中の小人』は涼しい顔をして防御する。
「攻撃やめ!!伏せろ!!焔の錬金術師が来るぞ!!」
そこでロイが攻撃の手に参加した。
ホークアイが彼の“目”となり、大火力で敵を攻撃する。
「撃て撃て!!撃ちまくれ!!」
「反撃のスキを与えるな!!」
ブリッグズ兵、アームストロング、ランファン、ザンパノ、ダリウス、イズミと、彼に賢者の石を使わせ続けるため攻撃の手は止まない。
「せぇのっ!!」
クライサが両手を合わせ、勢い良く拳を地面に振り下ろせば、巨大な氷柱がいくつも『フラスコの中の小人』へと向かう。
しかしまだ、彼の顔色は変わらない。
「ったく、終わりの見えない戦いほど面倒なものはないよね」
「うむ、あの防壁をなんとかせねば…!」
数々の攻撃を受けても傷一つ負わない相手の姿に、アームストロングは苦々しく言った。
『無駄だ。人間ごときでは私に指一本触れることは出来ん』
「人間がダメなら人造人間はどうだ!!」
煙の中から飛び出したのはグリードだ。
彼が繰り出した拳は『フラスコの中の小人』に命中した……が、
『いいところに来たな、グリード。親孝行な息子よ』
彼から賢者の石を奪おうとした男の顔に、その拳は飲み込まれてしまっていた。
しかし、それもまた計算の内。
賢者の石を欲しがっているのなら、自分と接触するために一度防御を解くだろう、との考えだったのだとグリードは笑う。
目を見開いた『フラスコの中の小人』の背後からは、エドワードが殴りかかっていた。
彼の機械鎧の右腕は、瞬時に張られた防壁によって止められた。
なおも拳をエドワードは突き出す。
バチバチと激しい音を立て、防御を破らんと突き出されていた機械鎧は、しかし防壁の破壊まで保ってはくれなかった。
バラバラに崩れていく右腕。
だがその瞬間、『フラスコの中の小人』の顔色が変わったのを、エドワードは見逃さなかった。
(あと少し、)
そして彼の攻撃に続くよう、彼の思いに応えるように、クライサが蹴りをともなって飛び込んできた。
(どうかあと少し、倒れないで)
歪む視界に舌打ちしながら、それでも狙いを外すことはない。
彼女の鋭い蹴りを、『フラスコの中の小人』は右腕で防いだ。
ーー防壁でなく、素手で、防御したのだ。
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