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空腹に耐えかねてロックベル邸に戻ってみると、そこにいた者の数が増えていた。

「クライサ!?」

「ウィンリィ!よかった、無事だったんだね」

勝手口から入ってみれば、なんだか上が騒がしい。
階段を上がって二階に行くと、廊下にがたいのいい男たちが転がっているではないか。
まさかと思ってその前の部屋を覗く。
そこにいたのは鮮血の滴る巨大スパナを持ったウィンリィと、その足元で瀕死状態になっているエドワードだった。

「ああ…そういえば装甲列車が駅に停まってたっけ。あれ、北のか」

床に転がっていた男たちの中ーーハインケルやダリウスの他に、ブリッグズで見かけた顔を見つけて、何となく事情を察した。

どうやら駅に停まっていた列車はブリッグズ軍のものらしく、東軍の演習場に向かうところだったようだ。
水の補給のために降ろしたタンクの中にウィンリィは隠れており、村人に扮したブリッグズ兵に家まで運ばれてきたらしい。

「それで久々に自分の部屋に入ったら、エドがいたと」

「そう!乙女の部屋に勝手に入るなんて信じられない!」

「この部屋が一番、外から来る人間を見張りやすかったんだよ…」

驚いて互いに声を上げれば、何事かあったのかとブリッグズ兵やハインケルらが入ってきたと(それをウィンリィが部屋から叩き出したため、彼らは床に転がるはめになったのだ)。
一体何をやっているのやら。
クライサはやれやれと溜め息をつき、ハインケルらとは違い既に立ち上がっている一人の男に目を向ける。
視線に気付いた彼は肩を竦め、小さく笑ってみせた。

「あんま騒がしくすると匿ってもらってる意味無くなるんだから、アンタももう少し気をつけてよね、グリード」

わかったわかった、とリンの姿をした男は鬱陶しそうに手を振った。
すると、こちらのやり取りを聞いていたのかいないのか、グリードのほうを向いたウィンリィが少年の名を呼ぶ。

「あー、そういや話してなかったな」

なんか雰囲気変わったね、と告げた彼女にエドワードが言いづらそうにしながら口を開いた。
そういえばブリッグズにウィンリィが来た時、リンがグリードをその身に受け入れたことを話し損ねていた。

「グリードだ。よろしくな」

「……は?」

ま、当然そういう反応になりますよね。









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