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今この状況で、彼にイシュヴァール内乱の真実を教えてやったら。
さて、どうなる?
「イシュヴァール内乱の真実を教えてやる!内乱のきっかけになった、子供の射殺事件は…」
「!こら!!」
スカーに向かって大声を上げるクライサを、エンヴィーは止められない。
「このエンヴィーって人造人間が軍将校に化けて、わざと子供を撃ち殺したんだよ!!内乱はこいつらの差し金だ!!こいつらはあの内乱の全てを知ってる!!」
彼の右手が、ビキ、と音を立てた。
「詳しく話を聞かせてもらわねばならんようだな」
何故、イシュヴァールの民は滅ぼされねばならなかった?
スカーは歩みを進める。
エンヴィー、そして彼らの父の元へ。
「答えによっては貴様らを神の元へ…」
再生したグラトニーが彼の背後から襲いかかる。
「否。我らイシュヴァールの同胞が居る、神の元へは行かせん」
しかし、隙の無い彼に攻撃を仕掛けることは叶わなかった。
巨体は血を噴き出し、倒れる。
「安息も救いも与えられぬものと思え!!」
次いで彼を襲うのはエンヴィーだ。
しかしそれに対し、スカーは右手を足元に押し当てた。
広範囲に渡る地面の破壊。
瓦礫の上を跳び回り安全地帯を探すクライサの目に、茶髪の女の姿が映った。
「レベッカ!!」
さすがにスカーの攻撃による破壊には巻き込まれたくないのか、彼女は部屋を出ようとしている。
しかし、ここで逃がすわけにはいかない。
その名を呼ぶと、レベッカは足を止め、少女に振り返った。
「ごめんなさいね。あなたの相手はまた次の機会にしてあげるわ」
「そうはいかねぇよ!」
去ろうとする彼女の行く手を阻むのは、リオだ。
彼の振るう剣を避けつつ後退るレベッカは、徐々にクライサのほうへと近付く形になる。
親友の協力に感謝し、彼女を捕らえんと走るクライサだが、その視線の先でリオが動きを止めた。
「エックスフィート大尉。あなたはそちらにつくの?」
その声はあまりに冷たくて、クライサですら一瞬体を震わせる。
リオは剣を握る腕を止め、目を見開いて固まっていた。
「あなたはキング・ブラッドレイに命を救われたんでしょう?彼を裏切っていいのかしら」
彼はやはり、動けない。
その間にレベッカは外に繋がる扉へと歩みを進め、駆けてきたクライサに目を向けてから、もう一度リオを見た。
「よく考えなさい。こちらにつくのか、そちら……クライサにつくのか」
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