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そこには、もうレベッカの姿は無かった。
クライサは去っていった彼女を追わず、俯き黙っているリオをただ見つめている。
様子がおかしい。

「……悪い、クライサ」

「いいよ。今はアイツより、こっちを片付けるのが先」

彼の背中をバシンと叩いて、繰り広げられている闘いの中へと駆け出した。
すると、アルフォンスがメイを抱えて走っているのが目に入る。
腕の中の少女は負傷しているらしく、目を伏せて荒い息を繰り返している。

「アル!」

その後ろから彼らを追うグラトニーの足にスライディングキックをかまし、鎧の名を呼んだ。
クライサの目から意思を読み取ったアルフォンスは、先程レベッカが出て行った、外へ繋がる扉へと走っていく。
人柱と呼ばれるクライサやエドワードたちと違って、人造人間たちがメイを生かしておく筈が無いのだ。
彼女は無事に逃がしてやらなくては。

(さて、どーしたもんかな)

エドワードがグリードと闘っているのが見える。
ヒゲの男は戦況を見守っているらしく、無防備な状態で立っているが、先程エドワードたちの攻撃を防いでいた様子から見るに手は出さないほうが得策。
怪我を負ったスカーが出口となる扉(アルフォンスが通っていったものだ)に走り、その後をエンヴィーとグラトニーが追う。

(っていうか、リオも逃がさなきゃじゃん!)

そこまできて漸く気付いた。
命の保証が無いというのは、彼も同じことなのだ。
このままここにいては、邪魔者として殺されたり、リンと同じように人造人間にさせられたりするかもしれない。
彼の名を呼び、外へ逃がすべく扉へ走ると、突然その向こうで巨大な爆発音が響いた。
どうやらスカーが何かやらかしたらしく(彼の戦い方から見るに、粉塵爆発あたりだろう)、エンヴィーの怒鳴り声が扉のこちら側まで聞こえてくる。

怒り狂うエンヴィーの前に出ていくのは正直避けたい。
が、他に出口も見当たらない。
リオを逃がすことばかりを考えていたクライサは、背後の気配に気付けなかった。

「「!!」」

地面から錬成されたらしい巨大な手が、それぞれクライサとリオの胴体を掴んだ。
痛みはほとんど無いが、身動きが取れない。
何とか脱しようと試みるが、彼らを捕らえる手はびくともしない。










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