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グリードに向き直り、再び剣を構えた時だった。
突然大きな音が鳴り響き、地が震える。
見れば部屋の隅にあった扉が開き、血まみれの合成獣が倒れ込んでくるところだった。
その後ろに立つのは、見覚えのある二人。

「スカー!?」
「…と、あの時邪魔した子!?」

そこにいたのは傷の男、そして

「シャオメイ!!」

白黒猫(正確には大熊猫というらしい)の飼い主であるシンの少女、メイ・チャン。
何故彼らが此処にいるんだ?
様子を見守っていると、スカーの目がクライサとエドワードをとらえた。

「氷の錬金術師!鋼の錬金術師!」

「エ!?」

その言葉に反応し声を上げたのはメイだ。
彼女はユースウェル炭鉱でエドワードの話を聞いてから、ずっと彼を探していたらしい。

「どこでス!?エドワード様はどコ!?」

「あれだ、あれ」

「どこにもいないじゃないですカ!」

「だからアレだと言っている。あの小柄なのが鋼の錬金術師だ」

スカーが指していたのは確かにエドワードだ。
が、姿も知れぬ相手に恋していたメイの中で、彼はあまりにも美化されていて。
そしてその想像は今、ものの見事に打ち砕かれて。

「乙女の純情を弄んだわねこの飯粒男ーーッ!!」

「なんだとこの飯粒女!!」

「兄さん、あの娘に何したんだよ!?」

「なんもしてねぇ!!」

「うわ…エド最低…リオみたい」

「エックスフィート大尉と一緒にするな!!」

「鋼の坊主?ちょっと面貸せや」

相変わらず兄弟はエンヴィーに押さえつけられているのだというのに、緊張感が無いと言うか何と言うか。
そんな彼らに構わず、現れたのが『傷の男(スカー)』だと知ったホーエンハイム似の男が、グラトニーに指示を出した。
今のこの状況では、彼は錬金術を使うことが出来ない。

グラトニーは命令通り、スカーに襲いかかる。
しかし、

「!!」

スカーが右手を当てた、グラトニーの身体は、確かに破壊された。

「許せませン…乙女心を踏みにじり、おまけにシャオメイ誘拐まデ……天誅!!」

更に、メイによる錬金術ーー錬丹術も見事に発動し、エドワードとアルフォンスは運良くエンヴィーから逃れることに成功した。
何故スカーとメイは、ここで錬金術を使うことが出来るのか。
試してみたが、やはりクライサたちは未だに使えない。

だがそれよりも、これは状況打開のチャンスだ。

「スカー!!」









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