「――あのぉ。」
「はい……、おや? 貴女、見掛けない顔ですね。もしや冥界の人間ではないのではありませんか?」
「は、はい。三日前に此方へ来たばかりなんです。」
「あぁ、どおりで。(女性とは言え私の事を知らないなど、ココでは有り得ませんからねぇ。)」


「それで、ココはまだ不案内なものですから、道に迷ってしまって……。もしワイバーンのラダマンティスの館の場所をご存知でしたら、教えて頂きたかったんです。」
「ラダマンティス? そう言えば貴女、眉毛が薄っすら繋がって――。」


「わあぁぁぁ! い、言わないでくださいっ!」
「今頃、手で隠したって遅いですよ。そんなに気にしているのでしたら、繋がらないよう剃ってしまえば良いものを。」
「そ、それだけは駄目です! それだけは駄目なんです!」
「なら、いっそ私のように前髪を長く伸ばして、見えないように隠せば良いじゃないですか。そんな短い髪をしてるから、その眉毛ばかりが目立つのです。」
「は、はぁ……。」


「で、どうして剃ってはいけないのですか?」
「い、言わなきゃ駄目ですか?」
「駄目と言う事はないですが、気になりますし……。それに良いのですか? 今、私の機嫌を損なうと、貴女は見知らぬ土地で迷子のまま野垂れ死にますよ。」
「の、野垂れ死んじゃうんです、か……。」
「まぁ、死にはしなくても、こんなトコロですからねぇ。野蛮な冥闘士にでも集団レ○プされるのがオチでしょう。」
「っ?!」
「そうなりたいのであれば、別に構いませんが?」


「い、言いますっ! 言いますっ! あ、あのです、ね……。」
「はい。」
「昔、思春期の頃に、この眉毛を気にして、剃り落とした事があるんですが…。どういう訳か、その直後から、不幸な出来事が続いて……。」
「不幸?」
「車に当て逃げされたりだとか、転んだだけなのに骨折したりとか、学校の成績がガタ落ちしたりとか、好きな人に振られたりだとか……。」
「ほう、そうですか。」
「なので、それ以来、この眉毛には手を入れないと心に決めたんです。」


「フフフ。貴女、なかなかに面白い方ですね。気に入りましたよ。(色々と仕込み甲斐がありそうで。)」
「は? 今、何か……?」
「いえいえ、何でもありません。では、ラダマンティスの屋敷までご案内しましょう。さぁ、どうぞ。」



出逢いは突然に



エイプリルフール企画ページです。
この頁を含めて全3Pあります。

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