「あの……、ミーノスさん?」
「何をビクついてるのですか? そんなに畏まらないでください。『さん』は不要です。」
「えっと、じゃあ……、ミーノス?」
「はい、何ですか?」
「先程、仰った事を、もう一度、お願いします。きっと私の聞き間違い……、ですよね?」
「聞き間違いなどではありません。『私と共に暮らしませんか?』と、確かに、そう言いました。」
「ど、どうしてっ? 私達、数日前に出会ったばかりじゃないですか?」
「日数など問題ではありません。ようは心です。」
「で、でも、私にはお兄様が……。」


「親兄弟は、いつかは離れてしまうもの。それが早いか遅いかだけの違いです。」
「はぁ……。」
「大体、ラダマンティスときたら、仕事・仕事・残業・休日出勤・また仕事と、貴女を放っておいてばかりです。まだ冥界に慣れてもいないというのに、こうも一人にされては不安でしょう?」
「そ、それはそうですけど……。」
「私と共に暮らせば、出来る限り貴女を一人にはしません。寂しい想いなど、これっぽちもさせませんよ。」
「そ、それはとても嬉しいのですが、でも……。」
「でも、何です?」


「ミーノスって、ドSだと聞きました。人を縛るのが好きなのだと。」
「誰です? そんな馬鹿な事を貴女に吹き込んだのは?」
「えっと……、シルフィード、さん、で、す。」
「そうですか。バジリスクは後程、黒き疾風の谷にでも吊るしておきましょう。」
「(やっぱりドSっ?!)」
「確かに私の技は人を縛る事も、それにより好き勝手に操る事も出来ますが、だからと言って、SMプレイが好きだとか、縛りが好きだとか、そういう事はありません。全くの誤解ですから、安心してください。」


「ほ、本当ですか? (イマイチ信用出来ない気が……。)」
「勿論です。でも、もし貴女が縛られるのがお好きだというのなら、喜んで縛って差し上げますが。」
「け、結構です!」
「そうですか。それは残念です。」
「今、『残念』って言いましたよね?」
「幻聴でしょう。お気になさらず。」
「(気になります! めっちゃ気になりますって!)」


「で、貴女の答えは? 兄離れをするなら今です。寧ろ、あの救いようのない生真面目堅物ラダマンティスには、サックリと妹離れが必要なのです。さぁ、貴女の決断次第ですよ。」
「あの……、もしお断りしたら、どうなるんです?」
「そうですねぇ。今、この場で掻っ攫って私の屋敷に閉じ込めるか、もしくは、夜這いをして既成事実を作ってから掻っ攫うか……。」
「それって、どちらにしても攫われちゃうじゃないですか。」
「貴女が自ら私の元に来てくだされば、攫うなんて乱暴な手段は使いません。」
「それって断りようがないと思うのですが。」
「そうですね。」
「脅しにも受け取れますけど。」
「そうですね。」
「…………。」
「で、どうされますか? 自発的に来ますか? それとも夜這いの方が良いですか?」


「はぁ……。もう、仕方ないですね。攫われても、閉じ込められても、お兄様が大変な事を仕出かしそうなので、そうさせないためにも自分で行きます。だから……、夜這いは止めてください。」
「あぁ、そうですか。それは良かった。――って、どうしたのです? 顔を赤くして。」
「いえ、その……。ミーノスって、笑うと笑顔が可愛いと言うか、無邪気に笑ったりするんですね。」
「そりゃあ、私だって笑う事くらいあります。特に、こんな風に嬉しい時は。」
「嬉しいんですか?」
「当たり前です。惚れた女性と共に暮らせるのですからね。今からウキウキですよ。」
「はぁ、ウキウキですか。」


「それはそうと、マユゲちゃん。」
「はぁっ?! な、何ですか、そのあだ名は?!」
「その繋がり眉毛が可愛いので、『マユゲ』ちゃんです。」
「止めてください、返ってヘコみますから。」
「なら、『ユゲ』ちゃんで。」
「そこを取りますか?! せめて『マユ』にしてください!」
「『マユ』ですか。日本人みたいですねぇ。貴女が良いと言うなら、まぁ仕方ないです。」


「で、何ですか?」
「貴女、バージンですか?」
「ブフッ?! ゴホッ、ゴホッ!!」
「何をむせているのです?」
「そ、そんな訳ある筈ないでしょう! もう二十歳を越えてるんですから!」
「そうですか、それは残念です。色々とイチから教えて差し上げようかと思っていたんですが。」
「結構です!」
「そうですか、では……。」


――チュッ。


「っ?!」
「これから、ゆっくりと仲良くいきましょう。」
「…………。」
「どうしました? 『マユ』ちゃん?」
「い、いえ、その……。私、ノーマルですからね。貴方の好きそうなプレイとか、そういうのはお断りですから、ね。」
「勘違いされているようですが、私だってノーマルですよ。ただ、貴女にベタ惚れに惚れているだけの男です。」
「ミーノス……。」


――チュッ。


「っ?! 『マユ』ちゃん?」
「さ、さっきのお返し!」
「ふふふ、やっぱり貴女は誰よりも可愛いですね。」



いつの間にやらバカップル



「大事にしてくださいね?」
「当たり前です。目眩がする程、幸せにして差し上げますよ。私が縛るのは、貴女の『心』なのですから。」



-end-



***

愛情表現とセク○ラの境目が非常に怪しいミー様(爆)
でも、思ったよりドSでもHENTAIでもないかも^^;
てか、ミー様でありながら、この糖度の高さって(苦笑)

とまぁ、以上で(エイプリルフールの)ミー様小話、終わりです。
長々とお付き合い、有難う御座いましたv



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