サンタが部屋にやってきた



それは、ウツラウツラと淡い眠りに落ちようとしていた時だった。


星矢達と過ごした城戸邸での騒がしいクリスマスパーティーを終えて、宛がわれた部屋へと戻ってきた俺は、ドッと押し寄せてきた疲れに、早々にベッドへと沈んだ。
だが、アルコールが入っていた事もあり、気分が高揚していて、なかなか寝付けなかったのだ。
それが漸く、心地良く眠れそうだと思った途端に、ズシリと身体に何かの負荷が掛かった。


既に回転を止めていた頭で、ノロノロと考える。
もしや、これが世に言う『金縛り』というものだろうか。
いや、その割には、自分の身体自体は重くとも何でもないし、手足は動く。
試しに右手を動かしてみれば、むにっと柔らかで弾力のあるものに触れた。


「……何だ、これは?」
「あ……、アイオリア、さま。」


……っ?!
これは、人の声?
という事は、誰かが俺の上に圧し掛かっているのか?
しかも、この声は聞き覚えがある。
先程まで同じパーティー会場にいた、この屋敷のメイドの……。


「……アレックス、か?」
「は、はい。」
「どうして、ココに居るのだ? ココは俺の部屋だが。」
「どうして、って……。」


まだ闇に慣れない目を凝らせば、俺をジッと見下ろすアレックスの白い顔が、ボワリと浮かび上がって見えてくる。
黒い瞳の所在は、闇に紛れて良く分からなかったが、彼女から発せられる熱視線だけは、ありありと感じられた。
アレックスは腹の上に腰を落とし、未だ横たわったままの俺の頬に手を伸ばす。
ヒヤリ、触れた手の冷たさに、意識が一気に覚醒した。
彼女が俺の上に乗っているという事は、だ。
今、俺の手が触っている、この柔らかなものは、確実に……。


「す、すまないっ、アレックス! 意図せずとはいえ、君の、し、尻を触って……。」
「構いません。それよりも……。」


焦る俺の様子など気にも留めず、アレックスは少しだけ身を屈めた。
次いで、シュルリと布の擦れる音。
視界を覆う闇の中を、白い何かが横切って消える。
それは彼女が身に着けていた真っ白なメイドエプロン。


「な、何をしているんだ、アレックス?」
「さぁ、何で御座いましょうね。」


答えるが早いか、バサリと先程よりも大きな音が響く。
黒いメイド服が宙を舞い、重たげな音を残して、床へと落ちていった。
視界には、その白い顔よりも、もっと白く、そして、艶めかしい、アレックスの真っ白な肌が映る。
暗闇にぼんやりと浮かび上がる肌と、魅惑的な身体のラインに、ゴクリと隆起する喉。


これは夢、だろうか……。
こんな夢を見てしまう程に、俺は彼女に恋い焦がれていたのだろうか……。


「アレックス……。」
「アイオリア様……、私を抱いてくださいませ。」
「っ?! な、何をっ?!」
「シイッ……。」


あまり大きな声を上げては、皆が目を覚ましてしまいます。
折角、屋敷中が寝静まるのを待っていたのに、無粋な方……。
身を屈めて、そう耳元に囁く声の、甘く艶っぽい事といったら、闇の中であっても、横たわったままだとしても、目眩を起こしてしまいそうだ。
俺の胸板に押し付けられた、柔らかな胸の感触。
無意識に伸ばした腕の中にスッポリと収まるなだらかな肢体。
まるで猫のように俺の身体の上で擦り寄る仕草をみせるアレックスに、とてもじゃないが理性などは持ちそうになかった。


「お願いです。一夜の夢でも構いませんから……。」
「夢、だと? 夢というなら、セーブなど無しになるが? 壊れるまで、メチャメチャにするぞ?」
「嬉しい……。滅茶苦茶に抱いてください。私を壊して、アイオリア様……。」
「アレックスっ!」


その先は、言葉の問答など無意味。
身体を反転させてアレックスを組み敷くと、残っていた下着を全て毟り取り、強引に、乱暴に、そして、殊更に激しく彼女を抱いた。
闇の中、何度も繰り返し上がるアレックスの高い嬌声で、耳の奥までを満たしながら。



現れたのはセクシーなサンタでした



(ああっ、あ、ああっ……。)
(クッ……、は、はぁ……。最高だ、アレックス。もう一回、良いか?)
(え、あ、はい……、あ、ああっ!)
(君の身体は媚薬だな。何度しても、し足りない。)



‐end‐





リアを夜這いしたい願望の現れです(爆)
寝起きで戸惑い→覚醒→本領発揮となる過程が、リア最大の萌えポインツかと。
そして、朝まで終わりませんw
獅子に理性など必要ないと思います(コラコラ;)

2014.12.23

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