私の反応を見て意を得たのか、余裕の笑みを見せたアイオリア。
辿る指は何度も背骨を往復し、その度に私の身体を震わせる。
私の背中が刺激に敏感だと知ってて、それを繰り返すアイオリアに、ちょっと悔しいと思いつつ。
その逞しい肩に掴まり、彼の鎖骨に顔を埋めた私は、ハァと大きく息を吐いた。
それと同時に、またベッドが軋みを上げる。


「やだ、また……。あっ。」


言葉の最後は溜息か吐息か、どちらともつかない甘い息に変わった。
背中を彷徨っていたアイオリアの手が、思い掛けずに私の深い場所を探り始めたから。
親密な場所を探る彼の手に、遠慮なんて言葉はない。


「気にするな、アリナー。壊れたら壊れたで、それで良いだろ。」
「あ、んっ……。」


アイオリアの一方的過ぎる愛撫によって、再び熱を帯びてしまった身体は、もう止めようにも止められない。
先程まで彼に与えられていた甘い夢から、私の全てがまだ冷め切っておらず、心も身体も潤いを保ったままだったから。
ホンの少しの刺激だけで、この身体はあっという間に、彼の前で開いてしまった。


「やだ、も、アイオリアぁ……。次したら、あっ……。ホントに、壊れちゃう……、よ?」
「壊れたなら、それで良い。その時は獅子宮に、俺の部屋に越してくればな。ベッドも広いし、俺とアリナー、二人で寝ても快適だ。」
「このベッド、気に入ってる、のにぃ……。寝心地、良い、から……、あ、んんっ。」
「俺のベッドだって、寝心地は良い。何より、こんなに軋まない。」


――ギシィッ!


一際、大きな音を立ててベッドが鳴いたかと思えば、体勢を変えたアイオリアが真上に見えていた。
この狭いベッドで、よくもこんなに器用に私を組み敷けるものだ。
感心していたら、首筋の一番感じる部分に吸い付かれ、身体が大きく跳ね上がった。
勿論、同時にベッドも鳴き声を上げる。


「でもっ……、あっ。獅子宮じゃ、仕事場まで、あっ……。遠い、し……。」
「俺が毎日、教皇宮までアリナーを運んでやる。勿論、姫抱っこでな。」
「恥ずかしいって……、んっ。そんな、の……。」


アイオリアの大きな身体に押し潰されてなお、まだ抵抗を続ける私に痺れを切らしたのか。
彼は全ての動きをパッと止めると、自身の上体を持ち上げ、真上から私を見下ろした。
アイオリアがベッドに手を付けば、ギシッと鳴ったベッドに、切なく高鳴る胸の鼓動。
まだ暗い部屋の中で、アイオリアの爛々と輝く緑の瞳だけが、透き通った色を持って、私の視界に飛び込む。


「俺はアリナーと一緒に暮らしたいんだ。毎日、こうしてアリナーを抱きたい。」
「アイオ……、あっ、ああっ!」


――ギギギッ!


私が彼の名前を呼び終わる前に、視界は彼だけでいっぱいになった。
そして、身体はアイオリアだけのものになる。
彼で満たされ、彼を満たして。
そして情熱の波に飲み込まれた意識に、激しく軋むベッドの音は、どこまでも遠く。
ベッドの鳴き声より、自分の上げている切なくも甘い声の方が、よっぽど大きいのではないかとさえ感じられた。





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