その途切れた一瞬に、キミは感じ取ってしまったのだろうか?
星空に見惚れていた瞳を、俺の方へと向ける。
目が合った刹那、俺の中に渦巻いていた想いは堰を切って、キミへと向けて流れ出した。


「何? 何を考えているの、アイオリア?」
「ん? 聞きたいのか、アリナー?」
「……勿論。」


返事を返すまでの僅かな間。
でも、キミの躊躇いは、好奇心には勝てなかったらしい。
少し聞くのが怖いけど、でも聞かなきゃ後悔しそうだと、揺れるその瞳が如実に語っている。


「俺は手に届くものの中に、他の何よりも、あの星よりも素敵なものがあると知っている。」
「……アイオ、リア。」
「腕の中にいるアリナーが、俺にとっては何より大切で素敵な宝物だ。」


真剣な瞳で見つめれば、キミは暗闇の中でもそれと分かる程に、真っ赤に顔を染めた。
そんな素直な反応をみせてくれるキミが、誰よりも愛おしい。
華奢で可憐で可愛くて、そして、愛らしい。
ずっとずっと、この腕の中に閉じ込めておきたくなる程に、俺の心を擽るキミ。


「あ、リア……? 星、見えないよ、それじゃ……。」
「俺には見えてる。たった一つ、俺のために輝く星が。」
「……んっ!」


身体を反転させてキミの身体に覆い被さった。
そんな瞳を向けられて、俺の心には、いとも簡単に火が点る。
欲しい、今直ぐ。
キミを、キミだけを、キミの全てを。


「や、あ……。駄目っ、アイオリア! ココ、外だし……。」
「言っただろう、ココには誰も来ない。心配はいらん。」
「でも……。あ、ふっ……。」


ココは切り立った崖に囲まれた小さな砂浜。
一般人では絶対に近付けない場所、しかも聖域の結界内。
雑兵でも容易に入れはしない。
今、この時は、俺とキミだけのプライベートビーチだ。
邪魔者は誰もいない、二人きりの世界。


「んっ……、あ、リアぁ……。」
「アリナー、お前が好きだ。全部が好きだ。」


唇を離せば、トロンとした目で俺を呼ぶ。
腕は力なく俺の胸を押し返す素振りを見せていても、まるで力が入っていない。
そうだ、キミは性格だけでなく、身体も正直だったな。
初めて身体を重ねた時、その事実を知って、俺はよりキミを好きになったんだった。





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