あまりの美しさに溜息が零れる。
いや、溜息ではない。
熱い吐息だ、これは。
月光に浮かび上がる、やや青ざめた白い肌は上質なシルクのようで、触れて感触を確かめずにはいられない。
俺は両手をアナベルの肩から腕、そしてまた肩に戻って、胸から腰のラインへと滑らせ、何度も何度も感触を確かめながら往復させた。


「あ、はっ……。」


眠っていても感じているのだろうか。
アナベルの唇から洩れる声が、次第に艶を増していく。
勿論、それが俺を更に高ぶらせ、より燃え上がっていく心と身体を抑制出来なくしてしまう。
俺は熱い息を零すアナベルの唇をキスで塞ぎ、深く深く絡ませて濃厚な感触をじっくりと味わった。
そして、その間、俺の手は身体を探る事を止めはしない。
ビクビクと震えるアナベルの身体の反応を感じ取り、俺はこの状況にゾクゾクとしていた。


「ふぅ、は、あぁ、んっ……。」


塞いでいた唇を開放すれば、途端に艶やかな声が零れ落ちる。
もっとその声を、俺のために、俺だけのために響かせて、俺に聞かせてくれ。
走り出した心も身体も、もう止まるところを知らなくて。
唇でアナベルの全身を探れば、予想以上の感触に興奮した心が、性急にこの先へと突き進もうとする。


今は自分だけしか触れられない箇所に、刻み込まれる幾つもの鮮やかな印。
アナベルの白い肌に、俺だけの赤い花弁が散っていく様は、夢幻(ユメマボロシ)のようでいて現実の世界。
そんな現実に深く溺れていくのは、何とも言えない心地良さだった。


「ん、うぅん……。あ……、アイ、オロス、さ、ま……? あっ!」


しなやかな足を押し開いて、蜜の溢れた魅惑の泉を味わい始めると、流石にアナベルも眠りの世界から意識を取り戻した。
だが、目覚めと同時に襲い来る快感の嵐に呑まれ、何が起きているのか、彼女はまるで分かっていない様子。
それを良い事に、もっと深くと唇を進めていけば、一段と高くなるアナベルの艶やかな声。
その声に触発されて、我慢の限界を越えてしまった俺の中の欲望が、爆発的に体内の熱を高まらせる。
そのまま足を抱え上げてアナベルの身体を組み敷くと、汗ばんだ彼女の上気した顔を見つめながら、一気にその奥深くまでを奪った。


「や……、あ、アイオ、ロス、様っ?! あっ、ああああっ!」


耳に届く艶を帯びた彼女の声が、反響してこだまする。
熱い息が幾度も吐き出され、その度に高い嬌声が俺の耳の奥を刺激して。
その声をもっと聞きたくて、何度も何度もアナベルの奥までを確かめるように、浅く深く動きを加えていけば、伸びてきた細い腕が首に絡まり、しっかりと俺に掴まってくる。
徐々に激しさを増す俺の動きについていけるように、と。


――ギシッ、ギシッ……!


「はっ……。あ、ロスさ、まぁぁ……、んっ!」
「アナベル……。」


耳元で小さく名前を囁けば、ビクリと素直に反応する彼女。
その心も身体も全てが愛おしい。
熱い口付けで、零れる熱い吐息さえも奪って、俺はアナベルの全部を味わい尽くしていった。





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