今日は二人きりの朝だった。
この家に一緒に住む(といっても部屋は勿論、別々だけど)彼の弟子の盟は、昨日から留守にしている。
やっと一人前の聖闘士として認められた盟は、今回、一人で任務を任された。
多分、明日までは戻って来ないだろう。
いつの間に、そんなに成長していたのかと不思議に思うのと同時に、もっと早くに認められていても良かったのに、とも思う。


元来がシッカリ者で、真面目で、気遣いの上手な子だ。
こんなイイ加減で適当な師匠と、フワフワと頼りない世間知らずな私と、アレコレと文句を零しながらも上手い事、一緒にやってきた。
デスの、あのハチャメチャな性格に合わせられるっていうのも、一種の才能みたいなものだし、私という大荷物までくっ付いていた事だし、盟には苦労ばかり掛けてしまった。


「いつまで見てンだよ?」
「ん、何が?」
「いつまで俺の身体、舐めるように見りゃ気が済むんだ?」
「あ、ゴメン。もう見てなかった。」
「オイ……。」


視線だけはデスの方へと向けて、心は何処か遠くの任務地で頑張っているだろう盟のところへと飛んでいた。
彼も、直ぐにそれを見て取ったのだろう。
特に何も言わず、またそのままゴロリとベッドの上に転がった。
これが他の事を考えていたりしてたら、文句の十や二十は軽く言ってくるんだけど、流石に盟の事となると何も言わなくなる。
それは多分、ゴロゴロ寛いでいるようにみせていても、心の中では盟の事を心配しているからだ。


「聖域にいた頃以来かな? こんな風にノンビリとした朝は。と言っても、あの頃だって、そんな時間はあまりなかったけど。」
「だな。何だかンだで扱き使われて、ミカをゆっくり抱く時間もなかったな。」
「十分、あったと思うけど。夜とか激しかったし……。」
「馬鹿、オマエ。十代のヤリたい盛りの男に、夜一度きりなんて少な過ぎンだよ。」


そう言った後、何を思ったのか、いきなりムクリと起き上がり、そのまま鏡の前の私の方へと歩み寄ってくる。
身体を覆っていたシーツがハラリと落ち、朝の光がデスの白い肌に眩しい。
朝に見る光景としては少々刺激が強過ぎる、何も身に着けていない彼の逞しい裸体。
それに怯んで目を逸らしてしまったのがいけなかったのか、次の瞬間には強引に抱き上げられていた。


「ちょ、え、何?!」
「何って、ナニだ。」


そのまま昨夜、何度も縺れ合ったベッドの上へと逆戻りした。
ホンの三十分程前まで眠っていたベッドは、デスと私の体温を吸収し、未だ冷めずに熱を持っている。
その生温かさと、背中の下で乱れ波打つシーツの感触が、妙に生々しく私の感覚を刺激して、望んでもいないのに勝手に反応した身体がブルリと震えた。


「折角の二人っきりだ。目一杯、楽しもうぜ?」
「十代のヤリたい盛りは過ぎたでしょ? もう二十代なんだから、少しは落ち着いたら?」
「そりゃ無理な相談だな。ミカを一生分、抱き尽くさねぇ限り、落ち着けるかよ。」


私を見下ろすデスの肩越しに、差し込む朝の光が眩しくて目を細める。
否、眩しいのは太陽の光ではなく、デスのニヤリと浮かべたセクシャルな微笑かもしれない。
そんなニヤリ笑いの魅力になんて、もう慣れっこになってた筈なのに、不思議。
デスの熱い眼差しに見下ろされて、胸がドキドキと高鳴っている。





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